グスタフ・マウリッツ・アルムフェルト

グスタフ・マウリッツ・アルムフェルト：フィンランドの独立に貢献した異色の生涯

グスタフ・マウリッツ・アルムフェルト（1757年-1814年）は、スウェーデン系フィンランド人の貴族であり、外交官、軍人として活躍した人物です。フィンランドでは、その功績から最も偉大な政治家の一人とされています。

華麗なるキャリアの始まりとグスタフ3世との関係

1757年、フィンランドで将軍の子孫として生まれたアルムフェルトは、1774年にスウェーデン近衛隊の少尉に任官しました。しかし、軽率な行動から国王グスタフ3世の不興を買って国外へ追いやられます。しかし、1780年に再びグスタフ3世に謁見し、その知性と社交性で信頼を勝ち取ると、宮廷の要職に就き、急速に昇進していきます。

ロシアとの戦争では、国王の信頼厚い諮問官として活躍し、現場でもその勇気を示しました。1788年のデンマークとの戦争では、ダーラナ地方での徴税を行い、スウェーデンの勝利に貢献しました。スウェーデン貴族の大半がグスタフ3世から離反する中でも、アルムフェルトは変わらぬ忠誠を誓いました。第一次ロシア・スウェーデン戦争の終戦交渉にもあたり、1790年のヴァーラ条約締結に尽力しました。

政治的陰謀とロシアへの亡命

1792年、グスタフ3世の死後、後見人を任じられたアルムフェルトでしたが、摂政となったカール王子と対立し、ナポリ大使に任じられ事実上国外追放となりました。その後、ロシアのエカチェリーナ2世と秘密裏に連絡を取り、スウェーデンへの軍事介入を画策しますが、この陰謀は発覚し、アルムフェルトは死刑判決を受け、財産も没収されます。愛人であったマグダレーナ・ルーデンショルドも投獄されました。アルムフェルトはナポリから脱出し、ロシアに亡命しました。

軍事的才能と外交活動

グスタフ4世の即位後、アルムフェルトは復権し、ウィーン大使に任じられました。その後、スウェーデン軍の最高司令官を務め、特にシュトラールズントでの活躍は目覚ましく、優れた軍事指揮官としての能力を発揮しました。しかし、その後ノルウェーの最高司令官に任じられたものの、混乱した状況の中で満足に職務を果たすことができませんでした。

ロシアでの活躍とフィンランドの自治

1809年のクーデターでグスタフ4世が廃位されると、アルムフェルトはロシアに亡命し、そこで彼の政治的キャリアは新たな局面を迎えます。アレクサンドル1世の信頼を得て、フィンランド大公国の自治権確保に尽力し、後のフィンランド独立に大きく貢献しました。また、スウェーデン・ノルウェー連合もアレクサンドル1世に認めさせました。トゥルク王立アカデミーの総裁を務め、伯爵に叙せられ、フィンランド国務大臣、フィンランド総督を歴任しました。

スウェーデンとフィンランドにおける評価

アルムフェルトは、スウェーデンでは裏切り者として扱われ、死刑判決を受けましたが、フィンランドでは独立の父の一人として高く評価されています。スウェーデンでは長らくその業績は知られていませんでしたが、近年になって再評価が進んでいます。一方、フィンランドでは一貫して偉大な愛国者として称えられています。アルムフェルトの生涯は、複雑な政治的状況の中で、揺るぎない信念と卓越した才能で歴史を動かす人物像を浮き彫りにしています。彼の選択と行動は、スウェーデンとフィンランド双方の歴史に大きな影響を与え、現在も議論の対象となっています。

家族

アルムフェルトは、ヘートヴィヒ・ウルリカ・デ・ラ・ガルディと結婚し、7男1女をもうけました。また、複数の愛人との間に非嫡出子もいました。彼の子供たちの中には、軍人や政治家として活躍した者もいます。

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