グッド・タイムズ・バッド・タイムズ

「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」(Good Times Bad Times)は、レッド・ツェッペリンが1969年に発表したデビューアルバム『レッド・ツェッペリン I』のオープニングを飾る楽曲であり、彼らの音楽キャリアの幕開けを告げる重要な一曲です。同年3月10日にはアメリカでシングルカットもされました。

この曲の最大の特徴は、ジョン・ポール・ジョーンズが「自身の作曲したリフの中で最も難しいものの一つ」と語る複雑なリフです。独特なコード進行とリズムが絡み合い、楽曲に独特の推進力を与えています。また、ジョン・ボーナムによる革新的なドラムプレイも特筆すべき点でしょう。特にバスドラムのフレーズは、長年にわたり日本のドラマー達の間で「ツインバスドラムで演奏されている」と信じられていたほどです。それほどまでに、彼のプレイは革新的で、聴く者に強烈なインパクトを与えました。

ライブでの演奏頻度は決して高くはありませんでした。初期のヨーロッパツアーでは「コミュニケイション・ブレイクダウン」のイントロとして一部が演奏されたり、「胸いっぱいの愛を」のメドレーの中で演奏される程度でした。しかし、2007年の再結成ライブでは、オープニングナンバーとして演奏され、ファンを大いに沸かせました。長らくライブでフル演奏されていなかったこの曲が、特別な場で復活を遂げたことは、バンドにとってもファンにとっても感慨深い出来事だったと言えるでしょう。

音楽的な側面からの評価も高く、山下達郎は渋谷陽一との対談で「この曲はR&Bだ」と述べています。ハードロックという枠に収まらない、多様な音楽的要素が組み込まれていることが伺えます。2007年には、アメリカのロックバンド、ゴッドスマックによってカバーされており、世代を超えて愛される楽曲であることを証明しています。

「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」は、レッド・ツェッペリンのデビューを飾るにふさわしい、エネルギーに満ち溢れた楽曲です。彼らの音楽的な探求心と、卓越した演奏技術が凝縮されたこの曲は、今なお多くの音楽ファンを魅了し続けています。その革新的なサウンドは、後世のミュージシャンたちにも多大な影響を与え、ロックの歴史にその名を深く刻んでいます。

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