グラスウール

グラスウール：優れた断熱性と多様な用途を誇る素材

グラスウールは、ガラス繊維を綿状に加工した建築材料です。その優れた断熱性と吸音性から、住宅や商業施設、工業施設など、幅広い用途で利用されています。本稿では、グラスウールの特性、製造方法、安全性、廃棄方法、そして主な国内メーカーについて詳しく解説します。

グラスウールの特性と用途

グラスウールは、コストパフォーマンスに優れた断熱材として知られています。軽量で加工性に優れ、壁、天井、床、屋根など、様々な箇所に容易に施工できます。厚さやサイズ、密度も豊富に用意されており、用途やニーズに合わせて最適な製品を選択できます。近年では、製造技術の向上により、従来品よりも低密度で同等の断熱性能を実現した高性能品も登場しています。

主な用途としては、建築物の断熱材・吸音材が挙げられます。住宅では、壁、天井、床、屋根の断熱に広く使用され、省エネルギー効果に貢献します。また、空調ダクトなどの配管の断熱にも利用されます。さらに、吸音効果も高く、自動車のマフラー内部、防音壁、病室、ホテル、放送室、スタジオなど、騒音対策が必要な場所にも効果を発揮します。住宅においては、階床充填材としても使用されることがあります。

グラスウールの製造方法

グラスウールの製造方法は、綿菓子を作る工程とよく似ています。廃ガラス（建築廃材、ガラス瓶、ブラウン管など）を溶かし、小さな穴の開いた容器（スピナー）に入れ、高速回転させます。遠心力によって、溶けたガラスが細い繊維となって吹き出し、綿状のグラスウールとなります。繊維径は、おおむね3～9μmです。その後、バインダー（フェノール樹脂など）を添加し、板状やロール状に成形して製品となります。

グラスウールの安全性

グラスウールは人造鉱物繊維であり、労働安全衛生法の対象物質です。そのため、取り扱いには注意が必要です。皮膚や粘膜への刺激症状が出やすい人は、保護具を着用して作業することが推奨されます。

グラスウールは不燃材ですが、バインダーや撥水剤を使用しているため、燃焼時には少量の煙や臭いが発生する場合があります。しかし、火災時においては、有害な煙やガスを発生させず、避難時間を確保する上で大きな利点となります。高熱環境での使用を想定した工業用グラスウールには、ノンバインダー製品も存在します。

ホルムアルデヒド放散量はF☆☆☆☆と、最も低いレベルに分類されています。また、WHO傘下のIARCによる発がん性分類では、大部分のグラスウールは「ヒトに対する発がん性について分類できない」(グループ3)に分類されます。ただし、特に微細なマイクログラスウールは、「ヒトに対して発がん性となる可能性がある」(グループ2B)とされています。

グラスウールの廃棄方法

廃棄されたグラスウールは、分別されている場合は、環境省の広域認定制度に基づきリサイクルが可能です。分別されていない場合は、「ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず」として、安定型産業廃棄物として適切に処理する必要があります。

グラスウールの主要国内メーカー

グラスウールを製造する主な国内メーカーは以下の通りです。

旭ファイバーグラス
セントラルグラスファイバー
パラマウント硝子工業
マグ・イゾベール
* ワンワールド

まとめ

グラスウールは、優れた断熱性と吸音性、そしてコストパフォーマンスを兼ね備えた、多用途な建築材料です。適切な取り扱いと廃棄処理を行うことで、安全かつ効果的に利用できます。 今後も、省エネルギー化へのニーズの高まりとともに、より高性能なグラスウールの開発が期待されます。

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