グラスハープ/草の竪琴

『グラスハープ/草の竪琴』(1995)は、アメリカ合衆国で制作されたドラマ映画です。トルーマン・カポーティの同名小説を原作とし、1940年代のアラバマ州の田舎町を舞台に、個性豊かな登場人物たちの物語が展開されます。

監督と製作を務めたのは、チャールズ・マッソー。彼は、出演者の一人であるウォルター・マッソーの息子でもあります。脚本はスターリング・シリファントが担当しましたが、これが彼の遺作となりました。

物語の中心は、母親を亡くした少年コリンと、彼を育てることになった二人の女性、ドリーとベレナです。ドリーはコリンの父親のいとこで優しく夢見がちですが、妹のベレナは町一番の資産家でありながら気難しい性格です。正反対の性格を持つ二人の女性のもとで、コリンは複雑な家庭環境の中で成長していきます。

コリンは、ドリーとそのメイドのキャサリンと深く関わっていくうちに、町の変わり者たちとも交流を深めていきます。この田舎町には、それぞれに事情を抱え、独自の生き方をしている人々が暮らしており、コリンは彼らとの触れ合いを通して、人生の様々な側面を学んでいきます。

映画には、多くの魅力的なキャラクターが登場します。ドリー役を演じたのはパイパー・ローリー、ベレナ役はシシー・スペイセク、コリン役はエドワード・ファーロングです。ジャック・レモン、ウォルター・マッソーといったベテラン俳優も出演しており、彼らの演技が作品に深みを与えています。特にパイパー・ローリーは、本作での演技が評価され、1997年度サウスイースタン映画批評家協会賞の最優秀助演女優賞を受賞しました。

この映画の見どころの一つは、美しいアラバマの田舎町です。緑豊かな自然と、そこに暮らす人々の温かい交流が描かれ、観る者の心を癒します。また、カポーティの原作小説の世界観を見事に映像化している点も高く評価されています。

さらに、本作には、興味深いトリビアがあります。ジャック・レモンとウォルター・マッソーという名コンビが出演しているだけでなく、パイパー・ローリーとシシー・スペイセクは、以前『キャリー』で娘役と母役として共演していました。異なる役柄で再び共演した二人の演技にも注目です。

『グラスハープ/草の竪琴』は、家族、友情、そして人生の意味を問いかける、心に響く作品です。美しい映像と、個性豊かな登場人物たちの物語を通して、観る者に忘れられない感動を与えてくれます。数々の賞を受賞したことも、この映画の高い評価を示しています。1996年にはファミリー・フィルム・アワードで最優秀監督賞、パームスプリングス国際映画祭で最優秀英語映画賞を受賞しています。

もし、心温まる物語と美しい映像を求めているのなら、『グラスハープ/草の竪琴』はきっとあなたを満足させてくれるでしょう。ぜひ、この作品を通して、1940年代のアラバマの田舎町の魅力と、そこで生きる人々の温かい人間模様に触れてみてください。

もう一度検索