グランドマスター

グランドマスターとは

グランドマスター（GM）は、国際チェス連盟（FIDE）によって認定されるチェス選手の最も権威あるタイトルであり、現役の世界チャンピオンを除けば、最も高い地位を意味します。この称号は終身にわたり有効で、略称はGMです。さらに、国際マスター（IM）やFIDEマスター（FM）といった他のタイトルも存在し、全てのタイトルは男女を問わず取得可能です。特に、1978年にノナ・ガプリンダシヴィリがGMを取得して以降、多くの女性選手がこの栄誉を手に入れ、2000年代以降は女子選手のほとんどがGM資格を保持しています。また、女性専用のタイトルである女子グランドマスター（WGM）も用意されていますが、こちらはIMやFMよりも低い実力基準で設けられています。

グランドマスターの歴史

グランドマスターのタイトルの起源は、1914年に開催されたサンクトペテルブルク大会にさかのぼります。当時のロシア皇帝ニコライ2世が後援したこの大会では、決勝に進出した5名の選手に初めてGMの称号が与えられました。優勝者はエマーヌエール・ラスカーで、後にカパブランカやアレヒンが世界チャンピオンとなります。

1914年から1950年の間、このタイトルは主に世界層を指す非公式な用語として使われていましたが、1950年にFIDEが行った正式なタイトルの付与により、27名の選手がGMの称号を受けることになりました。この中にはボトヴィニクやレシェフスキーなどの名選手が含まれています。

グランドマスターになるための条件

GMタイトルを得るためには、選手は最低でも2500以上のELOレーティングを保持する必要があります。また、ノームと呼ばれる大会での好成績を複数回達成することや、世界選手権での優勝・入賞も必要です。GMの取得には具体的な活動条件が設定されており、詳細はFIDEのハンドブックで確認できます。

タイトルのインフレ

グランドマスターの数は1972年には88名に過ぎなかったのに対し、2005年には900名以上に増加しました。この急増の背景には、レーティングのインフレや多くの大会の開催、参加選手の国際化が影響しています。昔はGMタイトルを持つには非常に高い基準が求められましたが、現在では多くの選手がこの称号を手に入れやすくなっています。

スーパー・グランドマスター

タイトルのインフレに伴い、レーティングが2700を超える選手は「スーパー・グランドマスター」と呼ばれることもあります。

グランドマスターの現状

2020年の時点で、グランドマスターの国別人数はロシアが174人と最も多く、続いてドイツ、ウクライナ、アメリカ、セルビアと続きます。日本にはまだGMタイトルを持つ選手はいませんが、通信チェスの分野ではGMが存在しています。

このように、グランドマスターは単なる称号ではなく、チェス界における高い技術と栄光の象徴です。そのため、様々な議論も巻き起こっていますが、GMの地位は依然として権威を誇ります。

もう一度検索