グラン・プリ

映画『グラン・プリ』の全貌

『グラン・プリ』は、1966年に公開されたカーアクション映画で、主演を務めるのはジェームズ・ガーナー、監督はジョン・フランケンハイマーです。音楽はモーリス・ジャールが担当し、映画全体に迫力を与えています。映画はモータースポーツの最高峰であるF1グランプリを舞台にしています。ドライバーズチャンピオンの栄光を目指す4人のドライバーの運命と、彼らとリンクした女性たちのドラマが描かれており、実際の競技と人間関係の複雑さが交錯しています。

映画の概要

この作品は、ロバート・デイリーのノンフィクション『The Cruel Sport』を原作としており、実際のF1レース及びその裏側がリアルに撮影されています。その中で、競技の過酷さやドライバーのプレッシャー、そしてそれに伴う人間関係の変化が巧みに描かれています。映画の撮影は、特別な65mmフィルムを使用し、シネラマ技術による大画面で公開されました。また、タイトルデザインを手掛けたのは著名なデザイナー、ソール・バスです。

公開当時、F1に参戦していたホンダをモデルにした「ヤムラ」（矢村）チームが重要な役割を果たし、本田宗一郎を彷彿とさせるチームオーナー役には、当時国際的評価を受けていた三船敏郎が選ばれました。彼のハリウッド映画への出演は本作が初めてであり、それ自体も話題を集めました。

物語の流れ

物語はF1シーズンの開幕戦であるモナコグランプリから始まります。レース中に発生した危険な事故により、アメリカ人レーサーのピート・アロン（ガーナー）は辛くも生き残りますが、彼のチームメイトであるスコット・ストッダードは重傷を負い、アロン自身もチームから解雇されてしまいます。以降、アロンは日本のヤムラチームと契約し、新たな挑戦を始めることになります。

アロンの競争相手には、経験豊富なフランス人ドライバー、ジャン＝ピエール・サルティや、将来を嘱望されるイタリア人のニーノ・バルリーニ、そしてストッダードの影響を受けるイギリス人ドライバーがいます。彼らの間には、レースのスリルだけでなく、複雑な人間関係や家族のドラマも絡み合っています。特にストッダードの妻がアロンに接近しようとする様子や、サルティが妻との関係に悩む姿が印象的に描かれます。

4人のドライバーたちの運命は、終始緊張が高まる中で展開し、最終戦のイタリアグランプリへと導かれます。ハイスピードの接近戦が繰り広げられ、盛り上がりを見せる中、観客は手に汗を握る展開に引き込まれます。

映画の技術と撮影

『グラン・プリ』の特徴的な点は、レースシーンの撮影技術です。フランケンハイマー監督のもと、約260名のスタッフがF1コンストラクターの協力を得て、1966年の6か国で撮影が行われました。実際のF1ドライバーたちもアドバイザーとして参加し、映像のリアリティを高めました。特に、主役の俳優たちは運転技術を習得し、プロに迫る腕前を見せつけています。

走行シーンには、実際のF1マシンを使用することができず、F3マシンを改造して撮影されました。また、特別なカメラ技術を用い、ドライバー目線の迫力ある映像が実現されています。これにより、本作はF1のテレビ中継が発展する以前の時代に先駆けて、革新的なアプローチを取っていたのです。

受賞と影響

『グラン・プリ』は、第39回アカデミー賞において編集賞や録音賞、音響編集賞を受賞し、その技術的な評価も受けています。また、長年にわたりNHK-FM放送の音楽番組のテーマ曲として使われていた本作のテーマ曲は、今もなお多くの人に親しまれています。

この映画は、カーアクション映画群の中でも特にそのリアリズムとドラマ性において高く評価され、多くの後続作品に影響を与えています。マシンの魅力だけでなく、ドライバーたちの人間模様を丁寧に描くことで、本作はカーアクション映画の金字塔となっているのです。

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