グリーンガム

グリーンガムは、菓子メーカーのロッテが1957年4月に市場に送り出したチューインガムです。日本のガム製品の中でも特に長い歴史を持ち、その存在は日本の食文化史においても特筆されます。

このガムは、葉緑素（クロロフィル）が配合されている点が大きな特徴であり、それゆえに薄い緑色をしています。この成分の持つ脱臭・殺菌作用をアピールし、「お口のエチケット」というコンセプトで、発売当初から人気を集めました。

価格体系は、2007年以降オープン価格が導入されていますが、標準的な9枚入りパックでは消費税抜きで94円前後が目安とされています。通常のパックに加え、3パックや5パックをまとめてセットにした商品も展開されています。また、2014年には大々的なリニューアルが行われ、その際に糖衣されていない粒タイプの製品（12粒入り）も新たにラインアップに加わりました。

発売当初のグリーンガムは、当時としてはまだ珍しかった天然チクルをガムベースに用いていることを売りにし、6枚入り20円という価格設定でした。男女間の交流が活発になり始めた当時の社会情勢や、「お口のエチケットガム」としての位置づけが、消費者の支持を得る背景となりました。宣伝戦略も積極的で、当時人気のテレビ番組『ロッテ 歌のアルバム』（1958年放送開始）での提供や、1961年には特賞一千万円（当時の公務員の初任給の約700倍に相当）という破格の大型懸賞を実施するなど、大きな話題を呼びました。天然チクルが日本に正式に輸入されるようになった時期とも重なっており、時代の追い風も受けた形です。

ガムの味自体も、消費者の嗜好の変化に合わせて何度か調整が重ねられてきました。特に2014年のリニューアルでは、発売以来となるほどの大幅な変更が施されました。この刷新では、ミント本来の香りと味わいをより追求し、後味の爽やかさを強調する方向性がとられました。同時に、製品仕様もシュガーレスとなりました。なお、これに先立つ2006年には、1980年代当時のパッケージと味を再現した「グリーンガム クラシックタイプ」が期間限定で発売されたこともあります。このクラシックタイプは、当時の一般的な嗜好に合わせて、2006年時点の現行品よりも全体的にマイルドで甘みが感じられる味でした。

パッケージデザインも、製品の顔として時代に合わせて変化してきました。基本的なデザインの思想は、森林をイメージした緑色をベースに、ロゴを赤と白で描くというものです。1993年からは、アートディレクターである佐藤卓氏が手掛けた、ロゴである“GREEN GUM”を大きく配したデザインが採用されました。このデザインは2004年にマイナーチェンジされ、色調がより明るいトーンに変更されています。この時期には、木の描き方に違いがあるなどの、意図的ではないとされる「レア・パッケージ」の存在も話題となりました。2014年のリニューアルでは、パッケージは緑色のツートーンカラーとなり、“GREEN”と“GUM”を異なる面に表示するデザインに改められました。

2014年の大幅リニューアルに伴い、製品の重要な特徴として「初摘みミント」の使用が打ち出されました。「初摘みミント」とは、その年に最初に収穫されるミントのことで、花が咲く前の若いミントは、雑味が少なく、よりフレッシュで豊かな香りが特徴とされています。この初摘みミントを用いることで、ガムのミント感と後味のすっきり感を強化する目的がありました。リニューアル後の製品がシュガーレスとなったのもこの時です。パッケージデザインにも初摘みミントのイメージが反映され、ミントリーフのモチーフや、グリーンのツートーンカラー（濃い緑がブランドの歴史と信頼、薄い緑が初摘みミントの爽やかさ）が用いられています。初摘みミントはグリーンガムだけでなく、食品や香料など他の様々な分野でも利用されています。

ロッテのガム製品の多くは、東京都新宿区にある新宿工場で製造されています。グリーンガムもこの工場で生産されており、その品質管理が行われています。

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