グレッグ・ケリー

グレッグ・ケリーの人物像と経歴

グレッグ・ケリーは、1956年7月生まれのアメリカ人実業家、弁護士です。オーガスタナ大学で行政学の学士号、ロヨラ大学で法務博士号を取得後、弁護士としてキャリアをスタートさせました。1988年に北米日産に入社し、法務部門でその手腕を発揮。その後、日産自動車本社へ異動し、人事部門の要職を歴任しました。2012年には、日産自動車の代表取締役に就任し、カルロス・ゴーンの右腕として活躍しました。

ケリーは、プロフェッショナル意識が高く、規律を重んじる人物として知られていました。一方で、カルロス・ゴーンへの忠誠心が非常に強く、その関係は、日産内部でも特別なものとして認識されていました。日産では、CEOオフィス責任者として取締役会議を運営するなど、経営の中枢を担っていました。また、日本では親しい同僚と飲みに行くなど、親しみやすい一面も持っていたようです。

カルロス・ゴーン事件とケリーの逮捕

2018年11月、ケリーは、カルロス・ゴーンとともに金融商品取引法違反の容疑で東京地検特捜部に逮捕されました。ケリーは、ゴーンの役員報酬約50億円を、有価証券報告書に記載せず、隠蔽を主導したとされています。逮捕後、ケリーは無罪を主張し、妻のドナ・ケリーは、夫が日産のクーデターに巻き込まれたと主張しました。

逮捕後、ケリーは保釈されましたが、ゴーンが国外へ逃亡したため、不利な状況に置かれることになりました。アメリカの上院議員は、ケリーの処遇について、日本政府に公正な裁判を保証するよう求めました。

裁判とその後

2022年3月、ケリーの裁判では、起訴内容のほとんどが無罪とされました。しかし、2017年分の役員報酬の虚偽記載については有罪と認定され、懲役6か月、執行猶予3年の判決が下されました。判決後、検察と被告側の双方が控訴しました。

また、アメリカ証券取引委員会とは、役員報酬の虚偽記載に関する件で、10万ドルの課徴金を支払うことで和解しました。

ケリーは、事件後も自身の無罪を主張し続けています。2020年には、雑誌「文藝春秋」に発表した「西川廣人さんに日産社長の資格はない」が、第81回文藝春秋読者賞を受賞しました。

まとめ

グレッグ・ケリーは、日産自動車の代表取締役まで上り詰めた実力者でしたが、カルロス・ゴーン事件に巻き込まれ、そのキャリアは大きく転換しました。彼の逮捕と裁判は、日産の企業統治の問題を浮き彫りにし、大きな波紋を呼びました。プロ意識と忠誠心を持ち合わせた人物であった一方、事件への関与を疑われた複雑な人物像は、今後も様々な議論を呼ぶことでしょう。

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