グレンデル

グレンデル：『ベオウルフ』に登場する怪物の物語

グレンデルは、北欧・イギリスの叙事詩『ベオウルフ』に登場する、恐るべき巨人の怪物です。その姿は醜悪で残忍、荒野や沼地を徘徊し、湖や沼地の奥深くに住処を構えているとされています。一部では、旧約聖書に登場するカインの末裔であるとも伝えられています。

フロースガール王とヘオロット宮殿

物語の舞台は、デンマークのフロースガール王が建てた壮麗なヘオロット宮殿。人々は連日宴会を開き、その騒がしい様子が、近くに住むグレンデルの怒りを買いました。

グレンデルの襲撃

恨みを抱いたグレンデルは、毎夜のようにヘオロット宮殿に忍び込み、人々を一人ずつ食い殺していきました。フロースガール王は恐怖に怯えながらも、為す術もなく、12年もの月日が過ぎ去りました。

英雄ベオウルフの登場

グレンデルの悪行は海を越え、勇猛果敢な英雄ベオウルフの耳にも届きました。ベオウルフはグレンデル退治を決意し、手勢を率いてフロースガール王のもとへ赴き、ヘオロット宮殿の警護を申し出ました。

ベオウルフとグレンデルの激闘

その夜、グレンデルはいつものようにヘオロット宮殿に現れ、警護にあたっていた兵士たちを次々と殺害しました。そして、ベオウルフに奇襲を仕掛けます。しかし、不意を突かれたベオウルフは、武器を持たないまま素手でグレンデルに立ち向かいました。激しい格闘の末、ベオウルフはグレンデルの片腕をもぎ取ることに成功しました。

グレンデルの逃亡と母の復讐

腕を失ったグレンデルは、恐れをなして逃走し、自分の母親に事の顛末を報告しました。怒り狂ったグレンデルの母親は、ベオウルフに復讐を誓い、ヘオロット宮殿へと向かいました。グレンデルの母親は、グレンデル以上に恐ろしい存在でしたが、ベオウルフの勇敢な戦いの前に、返り討ちに遭ってしまいます。

グレンデルの最期

母親を倒されたグレンデルは、自らの住処である沼地の奥深くに逃げ込みました。しかし、ベオウルフは執拗にグレンデルを追い詰め、ついに首を刎ねて、その命を奪いました。

ベオウルフとグレンデルの戦いは、『ベオウルフ』の物語の中でも、特に重要な部分であり、英雄と怪物の対決という構図を通して、人間の勇気や正義、そして悪の存在を描き出しています。

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