グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札

グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札

『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』は、2014年に公開されたフランス・アメリカ・ベルギー・イタリアの共同制作による伝記映画です。オリヴィエ・ダアンが監督を務め、ニコール・キッドマンが主役のグレース・ケリーを演じています。物語は、元ハリウッド・スターでモナコの公妃として知られるグレース・ケリーが、存亡の危機に直面した公国を救うために尽力する姿を描いています。この映画は、2014年5月に開催された第67回カンヌ国際映画祭でオープニング作品として上映されました。

物語の背景

グレース・ケリーは、その華やかなハリウッド時代を捨ててモナコ公妃となりますが、王室の厳しい規則や公務に忙しい夫レーニエ3世との関係に苦労し、孤独を感じる日々が続きます。特に結婚から5年が経過した1961年の冬、彼女はかつての映画監督アルフレッド・ヒッチコックから新作映画『マーニー』の出演を依頼されます。グレースは女優としての復帰に喜びを感じながらも、モナコ公妃としての役割を思い、即答を避けます。

この頃、フランスとモナコの間には政治的な緊張が高まっていました。フランス大統領シャルル・ド・ゴールは、アルジェリア戦争の影響でモナコに税金徴収を要求します。レーニエはこれに反発し、両国は対立します。そんな中、グレースは女優復帰を果たすための策を練りますが、彼女の動きは宮殿内から漏れ、マスコミに取り上げられ批判の対象となります。

危機と試練

状況が悪化する中で、グレースは自身が直面する困難と向き合うことになります。ヒッチコックからの依頼がスキャンダルを引き起こし、彼女は夫からの信頼を失い、さらには離婚の考えすら頭に浮かびます。しかし、タッカー神父の助けを借りながら、彼女はモナコを守る道を模索します。グレースは、外交儀礼を学ぶためにデリエール伯爵の元を訪れ、同時に両国関係の改善へ向けて努力します。

一方、フランスの圧力によってレーニエは課税に合意し、事態はさらに複雑化します。グレースは夫との関係修復を図りながら、スパイの存在を察知し、情報を元に彼女自身の行動を見直していきます。

勇気ある行動

ようやくグレースとレーニエは和解し、外交的支持を求めるサミットに臨むものの、ド・ゴール暗殺未遂事件が発生し、計画は頓挫してしまいます。さらなる困難に直面したグレースは、信頼していた秘書からの裏切りにも気づきます。現実が圧し掛かる中、彼女は冷静に判断を下す姿勢を見せ、モナコとその人々を守るための行動を決意します。

彼女はヒッチコックへの出演辞退を決め、国際的な舞踏会を開催すると発表。要人たちを招き、平和についてのスピーチを行い、国際社会からの支持を得ることを目指しました。グレースの行動は印象的で、彼女の存在はモナコを救う力になりました。舞踏会での成功を経て、ド・ゴールもモナコへの圧力を緩める決定を下します。

評価と反響

映画自体は多くの賛否が分かれ、特にモナコ公室からは批判の声が上がりました。主演のニコール・キッドマンは、「映画が家族を批判する意図はなく、真実を伝えたと言える」と語っています。しかしながら、全体的には批評家から低評価を受け、十分な支持を得られなかったことも確かです。それでも、キッドマンの演技には一定の評価が集まり、彼女自身が全米映画俳優組合賞にノミネートされるなど、彼女の存在感は作品に強い印象を与えました。グレース・ケリーの物語は、孤独や試練を乗り越えて力強く立ち向かう姿を描いた感動的な作品となっています。

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