グレーデッド・ドライバー

グレーデッド・ドライバー制度

グレーデッド・ドライバー（英: graded driver）とは、国際自動車連盟（FIA）が制定した制度で、特に高い成績を収めたレーシングドライバーを認定するものでした。この制度は1968年に始まり、主にF1世界選手権や世界メーカー選手権といった重要なレースで活躍するトップドライバーを対象にしていました。

制度の目的と背景

FIAがこの制度を設けた背景には、トップドライバーの参戦が主に上位カテゴリに集中してしまうという課題がありました。グレーデッド・ドライバーに認定されたレーサーは、F3などの下位カテゴリに参加することが禁止されていました。これにより、若手ドライバーのチャンスを確保し、より多くの選手がレースでの経験を積む場を提供することが目的だったのです。

しかし、この認定制度には時間が経つにつれ、実質的にドライバーの活動に制約を与える側面が強くなり、特に若手育成といった目的が形骸化してしまったことも考えられます。制度は時代の変化に対応する必要があり、最終的には2015年から導入された「FIA Driver Categorisation」に吸収される形となりました。

認定条件

制度開始当初の1968年には、以下の条件を満たすことが求められました。
1. 過去5年間のF1世界選手権でドライバーズチャンピオンとなった者
2. 過去2年間に単一シーズンのF1で2回以上6位以内に入賞した者
3. 過去2年間に世界メーカー選手権で2回以上3位以内に入賞した者
4. 前年度のヨーロッパF2選手権のチャンピオンで、シーズン中に3勝以上を挙げた者
5. 過去2年間にF1で6位以内に入り、同じ年の世界メーカー選手権で3位以内に入った者

加えて、1970年代以降は以下のような条件も追加されました。

• - 前年のインディ500の優勝者
• - 前年のCan-Amシリーズのドライバーズチャンピオン
• - 前年の国際F3000選手権のシリーズチャンピオン

その後、グレーデッド・ドライバー資格は「GPグレーデッド・ドライバー」と「LDグレーデッド・ドライバー」に分かれ、世界メーカー選手権においては後者が振り分けられるなど、制度が発展していきました。

まとめ

グレーデッド・ドライバー制度は、FIAがトップドライバーを評価し、レースの在り方に影響を与える重要なシステムでした。若手ドライバーへの道を開く一方で、除外や条件により実態としての指導的な役割を果たすことには限界がありました。この制度の歴史は、モータースポーツにおけるドライバーの評価と競技環境の変化を示しています。

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