グレート・ウェスタン鉄道3700形蒸気機関車

グレート・ウェスタン鉄道3700形蒸気機関車

グレート・ウェスタン鉄道3700形蒸気機関車、通称3700形は、イギリスのグレート・ウェスタン鉄道（GWR）によって製造された旅客用のテンダー式蒸気機関車です。これらの機関車はシティ級とも称され、アメリカンスタイルの軸配置（4-4-0または2B）を持ち、高速列車の牽引に用いられました。

概要

3700形は、1902年にGWRの機関車総監督ジョージ・チャーチウォードによって設計されました。彼は1915年に技師長に改称されるまで在任していました。3700形の設計の基盤となったのは、急行列車用の派生形である3300形（ブルドッグ級）の4120形（アタバラ級）です。この新型機関車には、チャーチウォードが設計したNo.4形ボイラーが搭載され、編成による性能の向上が図られました。アタバラ級からの改造及び新造によって、合計20両が生産されました。

設計

3700形は、次世代の強力なテンホイラー機2900形（セイント級）の開発が進む中で設計されました。これは、ロンドン・アンド・サウス・ウェスタン鉄道（LSWR）との速度競争に対抗するために必要な機関車として計画されたと考えられています。足回りはアタバラ級の設計を踏襲しつつ、新たに設計されたボイラーによって性能を高めました。

特にNo.4形ボイラーは高性能であり、蒸気圧力が高く強度を確保するために蒸気ドームを省いた設計になっていました。これにより、ボイラーの熱効率が向上し、連続的な高速運転が可能となりました。

製造

3700形は、アタバラ級の改造を経て、1902年には試作が行われ、1903年にはスウィンドン工場で10両が新造されました。さらに、1905年から1907年には他の9両が改造されました。これらの車両は1912年に3700 - 3719の車番に整理されました。

運用

3700形は、大西洋航路に連絡する郵便列車の牽引など、GWRの主力として高速列車の運行に利用されました。その中でも3440号機「シティ・オブ・トゥルーロ」は、1904年に世界で初めて時速100マイルを突破した記録を残しています。この駅の列車は、ニューヨークからの乗客や郵便物をロンドンへ早く運ぶための競争が繰り広げられており、GWRとL&SWRとの間には熾烈な速度争いが存在しました。

記録達成の際には、郵便車1両を牽引したシティ・オブ・トゥルーロが直線下り勾配で最高速度に挑戦し、時速102.3マイルを達成しました。この事件は両社間の速度競争を助長し、その後の事故を引き起こす要因ともなりました。

保存車

3700形の成功の後、他の最新鋭機種が次第に生産される中、3700形の活躍は次第に色褪せていきました。最終的には1927年から1931年にかけて全車が廃車となりましたが、3717号機「シティ・オブ・トゥルーロ」は歴史的意義から保存され、現在は国立鉄道博物館に展示されています。1957年には、再び加速して記録を3時間54分に短縮するイベントも行われました。

3700形は、イギリスの鉄道史において重要な役割を果たし、その速度記録は今なお多くの人々に語り継がれています。また、テレビシリーズ『きかんしゃトーマス』にも登場し、子供たちにも親しまれる存在となっています。

もう一度検索