グローバル戦闘航空プログラム

グローバル戦闘航空プログラム（GCAP）の概要

グローバル戦闘航空プログラム（英称：Global Combat Air Programme、略称：GCAP）は、日本、イギリス、イタリアの三ヵ国が協力して進める第6世代ジェット戦闘機の共同開発プロジェクトです。このプログラムは、イギリス空軍とイタリア空軍が運用中のユーロファイター タイフーン、および航空自衛隊のF-2を代替することを目指しています。2035年に初号機の配備を開始する計画であり、2023年には共同開発を管理するための国際機関「GIGO」の設立条約が署名されました。GCAPの発表そのものは2022年12月19日に行われました。

開発経緯

GCAPの開発には、各国の防衛戦略に基づく背景があります。イギリスは、2018年に発表した「戦闘航空戦略」において、2030年代後半に退役するユーロファイター タイフーンの後継機として、BAEシステムズが開発するテンペスト計画を始めました。これを受けて、イタリアも2019年にテンペスト計画に参加する意向を示し、最終的にはスウェーデンも加わり、共同開発についての覚書を交わしています。

一方、日本は2018年に中期防衛力整備計画を策定し、F-2の後継機として自国主導の開発を決定。2020年には三菱重工が開発の主導を任命され、F-X計画を立ち上げました。その後、技術的な支援をロッキード・マーティンからBAEシステムズに変更することが明らかになりました。こうした動きの中で、日英伊の戦闘機開発プロジェクトを統合する方向性が固まり、GCAPが設立されました。

共同開発の進展

GCAPの共同開発は、開発コストを抑えるための取り組みとして進められ、2022年には日英伊政府が公式に統合を発表しました。2023年には、GCAPの国際機関であるGIGOの設立に関する条約が交わされ、日本国内においても承認が得られました。この新しい機関は、共同開発の戦略や方向性を定め、各国の計画との調整を行う役割を担います。

プロジェクトの体制

GCAPの開発には、日本、イギリス、イタリアの企業が参加しています。それぞれの国での役割分担は、イギリスはBAEシステムズが主契約者となり、ロールス・ロイスがエンジンを担当、レオナルドが電子機器を担当する形となります。日本側では、主契約者が三菱重工、エンジン開発はIHI、電子機器は三菱電機が担当します。また、イタリアもレオナルドが主契約者として関わります。

今後の展望

GCAPのスケジュールとしては、2024年に各企業が詳細な開発計画や費用の分担を決定し、2030年に初号機の製造を行い、2035年に納入を目指すことが計画されています。各国での技術開発や、新型機の設計が進められており、特にイギリスは独自に技術リスクを低減するために実証機の開発を行っています。

国際的な協力と新たな参加国

最近の報道では、サウジアラビアがGCAPへの参加を望んでいるとの情報もあります。ただし、日本は参加国の増加により協議が長引くことや人道的な懸念から反対の立場を示しています。また、ドイツが独自の戦闘機開発計画を中止してGSAPへの参加を検討しているとの報道もあり、協力の枠が広がる可能性もあります。

GCAPは、国家間の安全保障面での協力を深め、先進的な技術を結集させることを目的としており、将来の航空戦力の向上に寄与することが期待されています。

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