グワイヒア

グワイヒア：中つ国の伝説を舞う鷲の王

J・R・R・トールキンが創造した中つ国を舞台とする物語、『ホビットの冒険』および『指輪物語』に登場するグワイヒアは、単なる鳥ではなく、希望と救済の象徴として物語に深く刻まれています。彼は鷲の王として、その勇壮な姿と迅速な行動で、幾度となく主人公たちを危機から救い出しました。

鷲族の長、風早彦グワイヒア

グワイヒアは、霧ふり山脈の鷲族が住まう「Eagle's Eyrie」の長であり、「風早彦(The Windlord)」という別名を持ちます。彼はエルフや魔法使いガンダルフと深い友情で結ばれており、その関係は物語の展開に重要な影響を与えます。グワイヒアは、第一紀に活躍した史上最大最強の鳥の王ソロンドールの子孫であり、弟にランドローヴァルがいます。

グワイヒアとランドローヴァルの誕生時期は明確ではありませんが、第一紀には既に中つ国に存在し、ベレンとルーシエンをアングバンドから救出するソロンドールを支援したという記録が残っています。また、第三紀の五軍の合戦にも大鷲族を率いて参加した可能性があり、その武勇は広く知られています。

『ホビットの冒険』では、ゴブリンとワーグに追い詰められたビルボ一行を救出した「鷲の王」が登場しますが、この鷲がグワイヒアと同一であるかは明確にはされていません。しかし、その後の物語での活躍を考えると、グワイヒアである可能性は高いでしょう。

『指輪物語』におけるグワイヒアの役割

『指輪物語』において、グワイヒアは重要な局面でガンダルフを運びます。サルマンに囚われたガンダルフをアイゼンガルドから救出し、バルログとの戦いで倒れたガンダルフをケレブディルの頂からロスローリエンへと運びました。そして、滅びの山に取り残されたフロドとサムをコルマレンの野から救出するという、まさに救世主とも言える役割を果たします。これらの行動は、マンウェがオローリン（ガンダルフ）を中つ国へ送り込んだ際に、その危機を救うために創造した鷲によるものとされています。

グワイヒアは常に単独で行動するわけではなく、ランドローヴァルをはじめとする他の鷲たちと連携して行動することが多く、メネルドールなどの部下も存在します。彼らはモルドールの門へ向かう西軍の援軍に参加したり、黒門での戦いや滅びの山での救出任務にもグワイヒアと共に赴きました。

映画版におけるグワイヒア

映画版では、グワイヒアは原作とは異なり言葉を話しません。また、体格も原作の記述にある体高約6メートル、翼開長約23メートルよりも小さく描写されています。映画では、ガンダルフがオルサンクから救出を要請する場面で、伝令として蛾や蝶を使うという設定に変更されています。

映画『ロード・オブ・ザ・リング』では、『旅の仲間』と『王の帰還』の双方に登場し、重要な役割を果たしています。しかし、飛蔭（ガンダルフの白馬）に比べて説明が少なく、名前も劇中で呼ばれることはありません。

グワイヒアは、中つ国の歴史において、勇気と希望の象徴として、その名を永遠に刻むことでしょう。

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