ケイゾン人

ケイゾン人（Kazon）

ケイゾン人は、アメリカのSFテレビドラマ『スタートレック』シリーズに登場する架空のヒューマノイド型異星人である。彼らは特有の身体的特徴や文化をもち、宇宙の冒険における敵として描かれることが多い。

身体的特徴

ケイゾン人の肌は銅色または褐色で、波状の隆起がある額と縄のように太い頭髪が特徴的である。彼らは戦闘民族として知られているが、特別な体格や身体能力を有しているわけではない。性格は粗野で乱暴であり、周囲との衝突を厭わない傾向がある。

文化と社会構造

ケイゾン人の文化は、クリンゴン人と似た好戦的な性質を持つ。彼らは敵を倒すことに名誉を見出しており、緩やかな連合体を形作っているものの、縄張り意識が強く、内部での権力闘争が絶えない。具体的には、ケイゾン・ニストリム、ケイゾン・オーグラ、ケイゾン・レローラ、ケイゾン・ポマーなど、数多くのセクトに分かれて日々争い合っている。

これらのセクトには、それぞれの部族を統率するファースト・マージという階級が存在し、厳格な社会階層が形成されている。各セクトは衛星を改造して戦闘訓練所を持ち、男子は子供の頃から特訓を受ける。名誉ある行動を成し遂げた者には新たな名や称号が授与される。

代表的な強力なセクトとしてはケイゾン・オーグラとケイゾン・レローラがあるが、これらは相対的に穏健派と見なされることもある。一方、かつて非常に強力であったケイゾン・ニストリムは、野心的なファースト・マージ・カラによって導かれ、しばしばUSSヴォイジャーと敵対している。

ケイゾン社会には男尊女卑の価値観が深く根付いており、女性が男性に意見することは忌まわしい行為と考えられている。家族内での愛情表現すら、息子にとっては恥とみなされるほどである。これは彼らの文化における厳しい性役割の象徴と言える。

歴史と他種族との関係

ケイゾン人はかつてトレイブ人という種族に支配されていたが、約30年前に反乱を起こし、自由を手に入れた。彼らは自らの技術力に乏しく、ほとんどが貧しい生活を強いられているため、生き延びるための物資や技術を他の種族から盗むことが一般的である。現在彼らの使用する戦艦はすべてトレイブ人から奪ったもので、レプリケーターや転送技術は持っていないが、強力な大型戦艦は持っているため、USSヴォイジャーといえども複数のケイゾン軍勢に囲まれると危険な状況に追い込まれることがある。

さらに、ケイゾン人はボーグによる同化の対象となったこともあるが、彼らはボーグから同化を拒否されている。その理由は、「同化する価値もなかった」とされる。

トレイブ人との関係

トレイブ人は、ケイゾン人をかつて支配していた種族である。彼らはデルタ宙域を広範囲に支配し、巧妙な情報操作を行いながらケイゾン人を奴隷として扱っていた。ケイゾン人同士の争いを煽ることでその支配を維持していたが、現在トレイブ人は故郷を追われ流浪の生活を送っている。ケイゾン人は彼らを絶滅させることなく、入植の妨害を行うことで彼らの動きを牽制し続けている。

トレイブ人は一見すると穏やかで文化的な種族に見えるが、過去の支配者としての意識は抜けきらずにいるようであり、再び力を取り戻す機会を狙っていると見られている。実際、トレイブ人は一度、ヴォイジャーを欺き偽りの和平を提案し、ケイゾンのマージを一カ所に集めて全滅させようとしたことがある。

代表的なケイゾン人

• - カラ（ジャー・カラ）: ケイゾン・ニストリムのファーストマージ。好戦的で野心的な人物。
• - カー（ジャー・カーデーン）: ケイゾン・オーグラの少年兵で、ある出来事を通じてチャコティと行動を共にしたことがある。

このように、ケイゾン人はその独特の文化や社会構造から、スタートレックの宇宙における重要な存在として描かれている。特異な価値観や歴史、そして好戦的な性格が彼らを物語の中で際立たせており、視聴者に深い印象を残している。

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