ケニー・エリソンド

フランス、エソンヌ県のロンジュモーに生まれたケニー・エリソンドは、1991年 7月22日生まれのプロ自転車ロードレース選手です。特に、山岳での優れたクライミング能力を武器に、世界のトップレベルのレースで活躍を続けています。

プロキャリアの始まり

2012年にフランスの名門チームであるFDJに加入し、プロ選手としてのキャリアをスタートさせました。2012年から2016年までの5年間をFDJで過ごし、プロ選手としての基礎を築きました。プロ初年度の後半に開催されたパリ〜コレーズでは、自身のプロ初勝利を飾るなど、デビュー早々その才能の片鱗を見せました。

2013年の飛躍

プロ2年目の2013年は、エリソンドにとって飛躍の年となりました。中東の主要ステージレースであるツアー・オブ・オマーンでは、強豪選手が集まる中で総合8位という堂々たる成績を残し、さらに新人賞を獲得しました。同年のブエルタ・ア・エスパーニャでは、大会屈指の難易度を誇る山岳フィニッシュ、アングリルでのステージで劇的な勝利を挙げ、そのクライミング能力を世界に知らしめました。このアングリルは、「地獄の勾配」として知られる過酷なコースであり、そこで勝利したことはエリソンドの山岳スペシャリストとしての評価を確固たるものとしました。戦績上、この勝利は同大会の区間優勝（第20ステージ）として記録されています。また、フランス国内の山岳ステージレースであるツール・ド・レンでも新人賞を獲得するなど、若手としての才能を強く印象付けました。

ブエルタ・ア・エスパーニャでの奮闘（2016年）

2016年のブエルタ・ア・エスパーニャでも、エリソンドは再び存在感を示しました。特に山岳ステージで積極的に逃げ集団に乗り、自身の持ち味であるクライミング能力を活かした走りを見せました。第14ステージでは、厳しい山岳フィニッシュで優勝争いに加わり2位となり、この活躍によって一時的に山岳賞ジャージの首位に立ちました。大会終盤まで山岳賞獲得の有力候補として注目を集めましたが、総合勢による激しい争いや、前年度山岳賞受賞者であったオーマール・フライレの粘り強い追い上げもあり、最終日前日の第20ステージで惜しくも山岳賞ジャージを明け渡す結果となりました。それでも、大会を通して見せた果敢な走りは多くのファンの記憶に残りました。

新たな挑戦：チーム移籍

2017年シーズンからは、活動の場をイギリスの強豪チーム、チーム・スカイ（現イネオス・グレナディアス）に移しました。2017年から2019年までの3年間、チーム・スカイに所属し、世界屈指のタレントを擁するチームにおいて、グランツールでエースを山岳でサポートする重要なアシストとしての役割を担うことも増えました。献身的な走りでチームに貢献するとともに、自身もトップレベルのレース経験を積みました。その後、2020年にはトレック・セガフレード（現リドル・トレック）へと移籍。2020年からはトレック・セガフレードで新たなチャプターを開始し、現在もチームの目標達成に向けて貢献を続けています。

主な戦績

エリソンドのキャリアは、プロ入り前から注目されていました。以下にその主な成績を挙げます。

- 2009年：Tour du Valromey（Junior）区間優勝(第1、3ステージ)

ジュニア世代において有望株と目される選手が集うフランス国内のステージレースで、複数区間での勝利を挙げました。特に第3ステージは山岳フィニッシュであり、早くからそのクライミング能力が注目されました。

- 2011年：ラ・ロンド・リザール(U23)総合優勝、区間優勝（第2ステージ）

U23カテゴリーの世界トップレベルのステージレースの一つで、総合優勝という輝かしい成績を残しました。第2ステージでの区間優勝が総合優勝に大きく貢献しました。アンダーカテゴリーにおける彼の強さを決定づける勝利でした。

- 2012年：パリ〜コレーズポイント賞、区間優勝(第2ステージ)

プロとして初めて参戦したシーズンの後半に行われたフランス国内のステージレースです。プロ初勝利を挙げた第2ステージでは、単独での逃げ切りを成功させ、そのアグレッシブな走りからポイント賞も獲得しました。

- 2013年：ツアー・オブ・オマーン総合8位、新人賞

UCIワールドツアーカレンダーに組み込まれた中東のステージレースで、当時の世界トップクラスの選手たちと競り合い、総合でトップ10入りを果たしました。若手選手の中で最も優れた成績を残した証である新人賞（白ジャージ）を獲得し、そのポテンシャルの高さを示しました。

- 2013年：ツール・ド・レン新人賞

フランス国内の主要な山岳ステージレースで、ここでも新人賞を獲得。フランス国内においても、次世代を担うクライマーとしての地位を確立しました。

- 2013年：ブエルタ・ア・エスパーニャ区間優勝(第20ステージ)

自身初のグランツールでの区間優勝であり、特に「地獄の勾配」として知られるアングリルでの勝利は、彼のキャリアハイライトの一つです。この勝利により、グランツールでも通用するクライマーであることを証明しました。戦績上はこの区間優勝が第20ステージとして記録されています。

ケニー・エリソンドは、小柄ながら優れたクライミング能力を持つ選手として知られ、難易度の高い山岳コースでその力を発揮します。トップチームで経験を積みながら、今後も世界のロードレースシーンでの活躍が期待されます。

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