ケネス・グラント

ケネス・グラントについて

ケネス・グラント（Kenneth Grant、1924年5月23日 - 2011年1月15日）は、イギリスの儀式魔術師・著述家であり、セレマ宗教の重要な支持者として知られています。彼は詩人や小説家でもあり、妻であるスティーヴィー・グラントと共に「タイフォニアンOTO（テューポーン派OTO）」と呼ばれる自身のオカルト団体を設立しました。これは後に「タイフォニアン・オーダー」と改名されました。

グラントはロンドンのイルフォードに生まれ、青年期からオカルトやアジアの宗教に強い関心を抱いていました。彼は第二次世界大戦中にイギリス陸軍の一員としてインドに赴任した後、アレイスター・クロウリーの個人秘書として従事します。クロウリーは当時、セレマを創始した神秘的な存在で、グラントを自身のオカルト団体である東方聖堂騎士団（OTO）に導き、秘教的実践を教えました。

1947年にクロウリーが死去すると、グラントはクロウリーの後継者と見なされ、アメリカのO.T.O.の指導者カール・ゲルマーによってその地位を与えられました。しかし、1954年にロンドンでニュー・イシス・ロッジを設立後、彼の教義に地球外のテーマやH・P・ラブクラフトの影響を取り入れることで、ゲルマーと対立することになります。1955年にはOTOから除名されましたが、グラントは1962年まで自身のロッジを運営し続けました。

グラントは1949年にオカルト芸術家であるオースティン・オスマン・スペアと親交を結び、その芸術作品を広める活動にも力を入れました。また、彼はヒンドゥー教に対する興味を深め、特にヒンドゥー・タントラについての研究を行い、その要素を自身のセレマにおける性魔術に取り入れました。1969年にゲルマーが他界すると、グラントは自らO.T.O.の外的首領（OHO）であると宣言しましたが、アメリカの指導者からはその称号を受け入れられませんでした。

彼の団体は「タイフォニアン・オーダー」と称され、ロンドンのゴルダーズ・グリーンを拠点に活動しました。1959年からオカルトに関する著作物を次々と出版し、「テューポーン三部作」をはじめとする多数の作品を発表しました。また、彼の教義や著作はケイオスマジックやセトの神殿など、他のオカルティズムの流派に多大な影響を与えました。特に、彼の思想は多くの現代のオカルト研究者によっても関心を寄せられています。

経歴と逸話

グラントは若い頃にアレイスター・クロウリーから秘教的な知識を学んだ後、1947年にOTAからのロッジ設立の認可を得て活動を始め、1951年には自身のO.T.O.ロッジの運営を開始しました。しかしその後、グラントは「ヌー・イシス・ロッジ」という新たなロッジを駆使し、結果としてゲルマーから運営の認可を取り消されました。

また、グラントは『人間、神話、魔術』というオカルト辞典に寄稿した記事で、ジェラルド・ガードナーとの魔術的対立を主張し、このエピソードは「緑色のスライム」事件として知られています。彼によると、ガードナーは彼のロッジへの女性の勧誘を妨害しようとし、オースティン・オスマン・スペアにタリスマンの製作を依頼しました。このタリスマンは彼のロッジ内での儀式中に異変を引き起こすとされ、その結果、ある女性が恐怖を感じたと伝えられています。

著作

グラントが残した著作には『魔術の復活』や『アレイスター・クロウリーと甦る秘神』などがあります。彼の思想は今なお多くの研究者によって探求されています。グラントはオカルト世界における重要な人物であり、その影響力は衰えを知らず続いています。

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