ケネディ大統領の検死

ジョン・F・ケネディの検死：事件の真相に迫る

ジョン・F・ケネディ大統領の検死は、1963年11月22日に暗殺された後、メリーランド州ベセスダのベセスダ海軍病院で行われました。この検死は、事件の真相を解明するための重要な手がかりとなるはずでしたが、多くの議論と謎に包まれています。本記事では、検死の背景、公式所見、その後の政府機関の調査、そして検死に関わった人々の証言を基に、ケネディ大統領暗殺事件の核心に迫ります。

検死の背景

ケネディ大統領暗殺後、シークレットサービスは更なる陰謀の可能性を懸念し、リンドン・ジョンソン新大統領に速やかにホワイトハウスへ戻るよう促しました。しかし、ジョンソンはケネディの死亡宣告なしに移動することを拒否。ジャクリーン・ケネディ夫人がケネディの遺体なしにはダラスを離れないという状況も考慮し、ジョンソンはダラスを離れることをためらいました。

ダラス郡検死官のアール・ローズは、ケネディの死亡宣告後、検死を行うことを主張しましたが、シークレットサービスやケネディの側近たちは、遺体をすぐに空港へ搬送する必要があるとして、検死を行う時間はないと告げました。テキサス州法では、遺体の移動前に検死を行うことが義務付けられていたため、ローズは激しく反発しましたが、最終的には身を引くこととなりました。

死亡診断書

ケネディ付き主治医のジョージ・バークリーは、死亡診断書にケネディの死因を頭蓋骨への銃創と記載しました。彼は頭部の致命傷について、「衝撃時に頭蓋骨の断片化と、頭蓋骨3部位の剥離を起こす凄まじい外傷で、結果として右大脳半球の離解が起きた」と記述しています。また、ダラス郡の治安判事セロン・ウォードは、ケネディが2つの銃創の結果として死亡したと記載しました。

検死の公式所見

ベセスダ海軍病院の検死医たちは、ケネディの首の根元にある銃創（射入口）を調べようとしましたが、舌骨下筋を通過していたため失敗しました。彼らは頸部前面の射出口に気付かず、射創の完全な解剖や探索は行われませんでした。初療に当たった救急医たちが気管切開を行ったため、射出口が分からなくなってしまっていたのです。

ウォーレン委員会報告書では、背中の創は右肩峰突起先端から5.5インチ、右乳様突起の下5.5インチの位置にあったと記録されています。報告書には、もうひとつの銃弾が右肩甲骨の上から入り、頸部右側の肩甲骨上・鎖骨上軟部組織を横断したと書かれています。また、鎖骨上の右肺尖部に肺挫傷があったとも記されています。

頭部の銃創については、後頭部の創が外後頭隆起の右側少し上にあり、右頭部の巨大で不規則な形の創は最大径13センチメートルと記録されています。X線検査により、発射体の微小粒子が後頭部の創から側頭部の欠損部に向けて道状に連なっているのが分かりました。

その後の政府機関捜査

ジョンソン政権下で合衆国司法長官となったラムゼイ・クラークは、医療専門家を指名し、検死の際に撮影された写真・X線写真を調査させました。この専門家パネルは、ウォーレン委員会報告書の調査内容を裏付ける結果となりました。また、ロックフェラー委員会も同様の調査を行い、ケネディが後方から2発の銃弾に撃たれたと結論付けました。

アメリカ合衆国下院暗殺調査特別委員会（HSCA）は、ベセスダ海軍病院で行われたオリジナルの検死写真・X線写真を評価し、当時作業に携わった検死医たちに信憑性を審問しました。委員会は、ケネディが背後から2発の銃弾で狙撃されたと結論付けましたが、検死そのものと得られた証拠の扱いについていくつかの批判を述べました。

暗殺記録再評価委員会

暗殺記録再評価委員会（ARRB）は、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺記録収集法によって組織され、暗殺に関連する政府記録全ての収集と公開を義務付けました。委員会のスタッフ報告書では、ベセスダ海軍病院で行われた検死の欠点について強調され、検死記録の不完全さと、現存している記録が秘密にされているために起こった疑いの目を指摘しました。

まとめ

ジョン・F・ケネディ大統領の検死は、多くの謎と議論に包まれています。公式報告書、証言、その後の調査を通じて、事件の真相に迫ろうとする試みが続けられていますが、未だに多くの疑問が残されています。本記事では、検死の背景、公式所見、その後の政府機関の調査、そして検死に関わった人々の証言を基に、ケネディ大統領暗殺事件の核心に迫りました。

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