ケバ図

ケバ図とは

ケバ図とは、地図上で地形の起伏を表現する手法の一つで、等高線に対して直角に描かれる楔形の「ケバ」を用いるのが特徴です。傾斜が急な場所では「ケバ」を太く短く、緩やかな場所では細く長く描くことで、視覚的に地形の立体感や起伏を把握することができます。

ケバ図の歴史

ケバ図は、ヨーロッパでは近代から地図作成に用いられていました。特に戦時においては、等高線地図を兵士が読み解きやすくするために重宝されました。日本でも、明治時代にドイツ式の軍備を導入した際に、10万分の1帝国図（日本地図）でケバ図が採用されました。

ケバ図の作成方法

コンピュータのない時代には、ケバ図を作成するには、等高線を読み解きながら、楔形のケバを一本一本手作業で描き込む必要がありました。そのため、時間と手間、そして高い技術が必要とされていました。また、より手軽に地形の立体感を表現する手法として、陰影図も作成されていました。陰影図は、ある方向から光を当てた際にできる影を描くことで、地形の起伏を表す技法です。日本においても、明治時代には東亜輿地図（アジア全域地図）が陰影図で作成されました。

ケバ図と陰影図

ケバ図と陰影図は、どちらも地形の起伏を表現するのに有効な手法ですが、それぞれに特徴があります。ケバ図は、等高線に基づいているため、地形の正確な情報を示せる一方で、作成に手間がかかります。陰影図は、視覚的に立体感を捉えやすいものの、正確さという点ではケバ図に劣ります。しかし、どちらも、不明瞭な地域や未測量の地域においては、補正が効くという利点がありました。

現在のケバ図

現在では、コンピュータの技術を利用して、等高線から自動的にケバを描き出すことが可能です。さらに、陰影図と重ね合わせることで、よりリアルで分かりやすいケバ図が作成できるようになりました。

縄張図との類似性

江戸時代の城郭図（縄張図）にも、城壁や土塁を表現する際にケバが用いられています。しかし、縄張図のケバは、標高を示すものではなく、一定の太さの短い線で表現されている点が、ケバ図とは異なります。

関連技術

地形を表現する地図表現技法としては、ケバ図の他に、段彩図や点描図などがあります。段彩図は、標高によって色分けすることで、地形を視覚的に表現する手法です。点描図は、点の密度によって斜面の傾斜を表す手法です。

まとめ

ケバ図は、地形の起伏を視覚的に分かりやすく表現する優れた地図表現技法です。その歴史は古く、現代でもコンピュータ技術を用いて、より高度なケバ図が作成されています。ケバ図は、地形図をより深く理解する上で、重要な役割を果たしています。

関連項目

鳥瞰図
暈滃

外部リンク

* ケバ図法と点描図法 株式会社中央ジオマチックスのサイトによる解説

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