ケピ帽

ケピ帽について

ケピ帽（ケピぼう）は、円筒形の胴体と水平に張られた天井を持ち、前面に庇がついた特徴的な帽子です。この帽子は主にフランスの陸軍や警察で制帽として長い間使用されています。

起源

ケピ帽の発祥は1830年代に遡り、フランスが植民地としたアルジェリアがその起源とされています。当時、フランス軍は重厚な革製のシャコー帽を着用していましたが、当地の熱帯気候に適応するために、そのデザインを改良しました。そこで登場したのが「Casquette d'Afrique」と呼ばれるライトで機能的な帽子です。この新しいデザインは軽量で通気性が良く、実用性に優れていました。これが後のケピ帽のスタイルに影響を与えたと考えられています。

世界的な普及

19世紀から20世紀の初頭にかけて、フランス陸軍はその洗練されたデザインで近代陸軍の模範となり、多くの国の軍隊がこのスタイルを採用しました。しかし、第一次世界大戦を経て、各国の軍はドイツ発祥の官帽や独自の軍帽デザインに切り替えるようになり、ケピ帽はあまり見られなくなりました。しかし、そのすっきりとした印象は今でも多くの職業や団体で愛用されています。

フランスにおける実用

フランスでは、ケピ帽は陸軍や国家憲兵隊、警察で使用されています。最初は頭頂部が前にクラッシュした形状でしたが、時間と共に円錐形に変更され、現在に至ります。

ドイツでの使用

ドイツでは、ナチス党が制服としてケピ帽を採用しました。後に党の中枢機関は官帽に移行しましたが、突撃隊などの下部構成ではケピ帽が普及しました。特に、1920年代から1930年代に関しては、親衛隊や突撃隊の一部がこの帽子を着用していました。

日本での導入

日本においては、幕末期にフランス式の軍制が導入された際にケピ帽が使用されました。明治時代の帝国陸軍や海軍にも引き継がれ、特に海軍では早期の数年間の間に着用されました。警察でも早い段階で採用されたものの、後に官帽に取って代わられました。戦後の自衛隊でも、作業帽として類似した形状の帽子が使用されることがあり、ケピ帽型として分類されることもあります。

その他の国々

例えば、オーストリア・ハンガリーでは19世紀後期にケピ帽が導入され、第一次世界大戦の後は官帽に取って代わられました。中国でも清朝末期から新軍で使用され、その後様々な変遷を経て最終的には廃止されました。また、アメリカ合衆国やスイス、ノルウェーなど他の国々でも、軍や民間団体による使用が見られます。

民間での使用例

最近では、マーチングバンドや公共交通機関、ホテルのドアマンなど、様々な業種でケピ帽が制帽として採用されています。特に公共交通機関では、女性用のデザインとして多くの鉄道会社が導入しており、見かける機会も少なくありません。

ケピ帽はそのシンプルでスタイリッシュなデザインから、今後も多方面での利用が期待されています。この帽子はただの制帽以上の存在であり、歴史や文化、さらにはアイデンティティをも象徴するアイテムとなっているのです。

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