ケヤキ属

ケヤキ属（Zelkova）について

ケヤキ属（Zelkova）は、ニレ科に属する落葉樹の一群であり、特に街路樹や公園樹として広く利用されています。これらの木は、種類によっては10メートル未満から最大で40メートルに達するものまであり、樹形は独特で「箒をひっくり返したような」形状になることが多いです。ただし、樹形は生育環境によって変わるため、一概には言えません。

構造的特徴

ケヤキ属の樹皮は滑らかで、所々剥がれ落ちることが見られます。これはニレ属の樹木が持つ縦に割れる樹皮とは対照的です。また、若い枝は左右にジグザグに伸びるのが特徴で、これを仮軸分枝と呼びます。

葉は互生しており、その縁には明確な鋸歯が存在します。これに対して、ニレ属の葉は二重鋸歯を持っているため、見分けることが可能です。葉脈は羽状脈を呈し、主脈から左右に側脈が伸びる形状をしています。

花と生態

ケヤキ属の花は単性花であり、同一枝に雄花と雌花が存在します。風によって受粉されるため、花は地味で、雄花は下に垂れ下がって咲き、雌花は葉の付け根に付いています。種子は腎臓型であり、特徴的なのは翼がないことです。これに対しニレ属は明確な翼を持つ種子を持っています。

生育環境としては、谷間や湿潤な斜面を好み、乾燥や栄養が乏しい環境にも耐える能力があります。ケヤキ属は強い萌芽力を持ち、挿し木による繁殖が容易です。秋に落ちる際、小枝や葉と一緒に種子も落ち、これが翼の役割を果たします。

名称と由来

「ケヤキ」という名称は「美しい木」を意味する「けやけき木」に由来すると言われています。また、かつては「槻（つき）」と呼ばれ、「強い木」という意味があるとされます。漢字では「欅」と書きますが、中国ではサワグルミを指す言葉で、ケヤキ属には「欅」という字が充てられています。

人間との関わり

ケヤキ属は移植が容易で剪定に強く、成長が早いことから、景観樹として評価されています。特に日本では公園や寺社、鉄道防風林などで広く見られます。欧米でもニレが枯死する問題から代替として利用されることがあります。ただし、ケヤキ属でも特定の病原菌に感染することがあり、その注意が必要です。

木材の特性

ケヤキの木材は、硬く加工が難しい面もありますが、摩耗に強いため高級材として扱われます。その美しい杢模様特徴で、かつては日本から欧米に輸出されることもありました。しかし、色合いが欧米人にはあまり好まれず、需要が減少したとされています。

世界のケヤキ属植物

ケヤキ属は、ユーラシア大陸に分布する数種を含む六種が知られています。特に日本ではケヤキ（Zelkova serrata）が広く分布しています。他にも、地中海地域のクレタ島やシチリア島に独自のケヤキ属が見られます。

このように、ケヤキ属はその独特の特性と美しさから、多くの人々に親しまれ、様々な用途に利用されています。

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