ケルビングローブ美術館・博物館

ケルビングローブ美術館・博物館：グラスゴーの至宝

スコットランド最大都市グラスゴーにあるケルビングローブ美術館・博物館は、ケルビン川沿いの美しいケルビングローブ公園に隣接し、グラスゴー大学の近くという恵まれた立地にあります。1901年に開館したこの美術館・博物館は、1888年のグラスゴー万国博覧会の成功を記念して建設されたもので、ヨーロッパの美術や自然史、そして世界各地の武器・防具など、実に8000点もの多様なコレクションを誇ります。

2003年から2006年にかけて大規模な改修工事が行われ、エリザベス2世によって再開されました。改修工事では、展示スペースの拡大や最新の展示技術の導入が行われ、より多くの来館者が快適に鑑賞できる空間が実現しました。リニューアル以降はスコットランドで最も来場者数の多い無料の博物館として、地元の人々や観光客に愛されています。

建築：グラスゴーの伝統とバロック様式の融合

美術館の建物は、ジョン・ウィリアム・シンプソンとE・J・ミルナー・アレンによって設計されました。赤砂岩を用いたグラスゴー伝統の建築様式と、スペインのバロック様式を融合させた見事な建物は、著名な彫刻家ジョージ・フランプトンやフランシス・ダーウェント・ウッドらの作品も飾られています。特に、建物のシンボルとも言えるセンターホールの大型パイプオルガンは圧巻です。

なお、建築にまつわる興味深い逸話として、建築家が建物の前後を間違えて設計し、塔の上から身を投げたという俗説が流布していますが、これは事実ではありません。

充実した所蔵品：多様な分野を網羅

この博物館の所蔵品は、グラスゴーのマクレラン美術館や、旧ケルビングローブ・ハウス博物館からの移管などを含む、多様な分野を網羅しています。特に、世界各地の武器・防具のコレクションは質・量ともに高く評価されており、自然史関連の資料も非常に豊富です。

美術品に関しては、ヨーロッパ絵画を中心に、巨匠たちの作品からフランス印象派、オランダ・ルネサンス、そしてスコットランドを代表するスコティッシュ・カラリストやグラスゴー派の作品まで、幅広いコレクションを誇ります。

サルバドール・ダリの『サン・ファン・デ・ラ・クルスのキリスト』も、この博物館の重要な所蔵品です。この作品は、ダリ本人との交渉を経て取得され、1993年から2006年にかけては聖マンゴー宗教博物館に所蔵されていた時期もありましたが、現在はケルビングローブ美術館・博物館に返還されています。

ケルビングローブ美術館・博物館の魅力

ケルビングローブ美術館・博物館は、その豊富なコレクションと美しい建物、そして無料というアクセスの容易さから、グラスゴー観光のハイライトと言えるでしょう。歴史、芸術、自然史といった多様な分野に興味を持つ人々にとって、一日中楽しめる魅力的な場所です。グラスゴーを訪れた際は、ぜひ足を運んでみてください。

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