ケルフィリー城

ケルフィリー城：ウェールズの雄大な要塞

ウェールズ南部のケルフィリー中心部にあるケルフィリー城は、その壮大な規模を誇る城郭として知られています。ウェールズ最大の城であり、イギリス国内でもウィンザー城に次ぐ規模を誇ります。広大な水濠に囲まれた二重の城壁は、堅固な要塞としての役割を担い、その威容は訪れる者を圧倒します。現在、ウェールズ政府の歴史遺産管理機関Cadwによって管理され、多くの観光客が訪れる人気の観光地となっています。

堅牢な構造：巧妙な防御システム

ケルフィリー城は、天然の土手の先端に位置し、巧みに防御システムが構築されています。城の周囲には、広大な水濠が巡らされ、その水濠は城の防御を強化するだけでなく、ケルフィリー市街への城門としても機能しています。

城の中心部には、主要な建物が立ち並び、高い城壁に囲まれた堅固な区域となっています。城門から庭園、塔に至るまで、城壁は途切れることなく続き、侵入者を阻む堅牢な防御網を形成しています。さらに、西側には石で舗装された掘割が開削され、北側にも堀が設けられています。これらの水路は、防御機能だけでなく、城へのアクセスを制御する役割も担っていました。

特に、城を囲む堀の面積は約30エーカー（約12万㎡）にも及び、その規模はヨーロッパでも最大級と言われています。この大規模な堀は、ダム工事の拡張によって造成され、城全体の防御力を飛躍的に向上させました。

歴史の舞台：建造から現代まで

13世紀に建造された多くのウェールズ城がエドワード1世の支配下で築かれたのに対し、ケルフィリー城は、当時ケルフィリー地方の領主であったノルマン人のギルバート・ド・クレアによって建設されました。その目的は、ライバル勢力であるルウェリン・アプ・グリフィズ公の南下侵攻を防ぐためでした。

建設後も、ケルフィリー城は数々の歴史的出来事の舞台となりました。グロスター伯とグリフィズ公の間の紛争、1294年のMadog ap Llywelynの反乱、1316年のLlywelyn Brenの蜂起、そして1326年から1327年のイングランド侵攻など、幾度となく攻撃を受けながらも、その堅牢な構造によって持ちこたえました。

ギルバート・ド・クレアの死後、城はエドワード2世の寵臣ヒュー・デスペンサーの手に渡りますが、ヒューの失脚に伴い、城は攻撃を受けます。しかし、ヒューの部下たちは篭城戦を展開し、数ヶ月間にわたって抵抗を続けました。

15世紀以降は牢獄として使用され、その後、ペンブルック伯ヘンリー・ハーバートが居城としました。1583年にはトーマス・ルイスが城を借り受け拡張工事を行いましたが、その際に城の原型が失われてしまいました。1776年にはビュート侯爵が城を取得し、荒廃を防ぐための措置を取った後、1870年代には大ホールの改修や周辺建物の買戻しなど、本格的な修復が始まりました。

1928年から1939年にかけては、大規模な修復プロジェクトが実施され、塔や建物の再建、池の復活、周辺市街地の整備などが行われました。これらの修復作業によって、ケルフィリー城はかつての威容を取り戻しました。

現代のケルフィリー城：観光地として

21世紀に入り、ケルフィリー城はウェールズの歴史遺産保護部門Cadwの所有となり、Scheduled Monumentおよび第一級指定建築物に指定されています。現在では、観光地として多くの観光客が訪れ、城内では結婚式なども開催されています。城のホールは100名以上の収容が可能で、城周辺の湖では釣りも楽しむことができます。

また、ドクター・フーや魔術師MERLINなど、様々なテレビ番組にも登場し、その知名度はさらに高まっています。清教徒革命の際に砲撃を受け、10度も傾いた塔は、現在も残っており、城の独特な魅力となっています。

ケルフィリー城は、その歴史、構造、そして神秘的な逸話など、多くの魅力を持つウェールズの象徴的な城と言えるでしょう。

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