ケロリン桶

ケロリン桶について

ケロリン桶は、日本の銭湯や公衆浴場で広く利用されている、明るい黄色のプラスチック製の湯桶です。この桶は1963年に内外薬品（現在の富山めぐみ製薬）によって、同社の鎮痛剤ケロリンの広告として製造され始めました。ケロリン桶は、銭湯や温泉地はもちろん、ゴルフ場や民宿の浴場など、多くの場所に普及し、今では湯桶の象徴的存在となっています。

歴史

1963年、睦和商事の社長・山浦和明氏が北海道の登別温泉で見た木製の風呂桶にインスピレーションを受け、広告媒体としての湯桶を考案しました。それから内外薬品と提携し、ケロリン桶の生産が開始されました。当時の銭湯では木製の桶が使われていましたが、衛生面の懸念から合成樹脂製の桶への移行が進んでおり、ケロリン桶はその流れに乗る形で登場しました。初めてケロリン桶が配置されたのは東京駅八重洲口の東京温泉で、全国各地へと広がっていきました。初期の桶は白色でしたが、湯垢の目立ちにくさから後に明るい黄色に変更されました。

販売元の変遷

製造開始から約50年にわたり、ケロリン桶は睦和商事が販売していましたが、2013年に同社が事業を停止しました。その後、販売は内外薬品に引き継がれ、2018年には富山めぐみ製薬がその役割を引き受けました。製造は関東プラスチック工業が行い、2013年時点では週に1,020個のペースで生産されているとのことです。累計出荷数は2018年時点で約280万個に達しています。

サイズ展開

ケロリン桶には、関東用（A型）と関西用（B型）の二種類があり、サイズや重さに違いがあります。関東用は重さが360g、直径が225mm、高さが115mmに対し、関西用は重さ260g、直径210mm、高さ100mmとなっています。この違いは、関西の習慣で湯を桶で汲んでかけ湯をするため、桶が小さい方が実用的であることに起因しています。

コラボレーション

近年では様々なアニメ、映画、テレビ番組とのコラボレーションが実現しており、特別デザインのケロリン桶が販売されています。たとえば、映画『テルマエ・ロマエ』やアニメ『けものフレンズ』などの作品とのコラボで、作品内のキャラクターが描かれた桶が展開されました。これにより、新たなファン層を開拓しています。

その他の製品

ケロリン桶は通常の湯桶だけでなく、手桶やコップ、バスタオルなどの「ケロリングッズ」としても販売されており、これらは公式サイトから入手可能です。興味深いことに、2015年には長野県で作られた木製のケロリン桶も登場し、森林保護に貢献する試みも展開されています。

注意喚起

最近では、ケロリン桶が飲食店で食器や酒器として使われることもありますが、これに関しては富山めぐみ製薬が注意喚起を行っています。ケロリン桶は食品衛生法に適合していないため、食器としての使用には安全性が担保されていません。このように、ケロリン桶は長い歴史を持ちながらも、現代のニーズに合わせて進化し続けています。

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