ケワタガモ

ケワタガモ (毛綿鴨) について

ケワタガモ（学名：Somateria spectabilis）は、カモ目カモ科に分類される海鳥です。別名としてアカハナケワタガモとも呼ばれます。その名前の「ケワタ」は、この鳥が良質な羽毛の採取対象とされてきたことに由来します。この羽毛は、保温性に優れており、衣料品などに利用されてきました。

分布

ケワタガモは、北極海の周辺に広く生息しています。繁殖期は、北極圏のツンドラ地帯で行われ、海岸や湖沼の周辺で営巣します。冬季になると、より温暖な地域へと渡りを行います。

主な越冬地としては、アリューシャン列島、ニューファンドランド島、ノルウェー沿岸などが知られています。これらの地域では、群れを形成して生活し、海上で採餌を行います。

日本では迷鳥として記録されており、主に北海道で数回の観察記録がある程度です。そのため、日本では非常に珍しい鳥と言えるでしょう。

形態

ケワタガモは、全長約56cmの比較的大型のカモです。雄と雌では外見に大きな違いがあり、性的二形が顕著に見られます。

雄は、頭部が灰色で、喉から頸、上背にかけては白色をしています。一方、脇から体の下面、腰から尾にかけては黒色です。また、嘴は特徴的で、橙色をしており、基部がふっくらと膨らんでいます。繁殖期になると、雄の色彩はより鮮やかになります。

雌は、全身が褐色で、特に目立った特徴はありません。これは、繁殖時に巣で卵を温める際、周囲の環境に溶け込みやすくするためと考えられています。

生態

ケワタガモは、主に海上で生活する海鳥です。潜水を得意とし、海底に生息する貝類や甲殻類などを捕食します。また、海藻なども食べる事が知られています。

繁殖期になると、ツンドラの湖沼や海岸の近くで集団で営巣します。巣は地面に作られ、植物の葉や羽毛などが使われます。雌は通常4～6個の卵を産み、抱卵期間は約24日間です。雛は孵化後すぐに親鳥の世話を受けながら成長します。

人間との関わり

ケワタガモの羽毛は、古くから防寒具の材料として利用されてきました。特に、非常に高品質なダウンとして知られています。しかし、現在では野生のケワタガモの羽毛採取は規制されており、羽毛製品は主に家禽からのものに頼っています。

参考文献

• - 真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年
• - 『世界の動物｜分類と飼育　ガンカモ目』、財団法人東京動物園協会、1980年、76頁

関連項目

• - 鴨
• - シモ・ヘイヘ、スロ・コルッカ (兵役就任前はケワタガモを撃つ猟師だった)
• - 日本の野鳥一覧

ケワタガモは、その美しい姿と生態、そして人間との関わりにおいて、興味深い鳥類と言えるでしょう。

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