ケント公

ケント公爵（Duke of Kent）

ケント公爵とは、イギリスにおける貴族位の一つであり、グレートブリテンの貴族または連合王国の貴族として何度も叙爵されています。現在の保有者は、国王ジョージ5世の孫であるエドワード王子であり、彼はケント公爵の他にセント・アンドルーズ伯爵およびダウンパトリック男爵の称号も持っています。

歴史的背景

この称号は、アングロ＝サクソン時代のケント王国にまで遡ることができます。ケント王国の歴史は449年頃から始まり、825年にウェセックス王エグバートに征服されました。以後、ケントはウェセックスの一部として扱われ、その後の王位はウェセックスの王族によって引き継がれました。860年にはケント王国はその独自の地位を完全に失いました。

11世紀中頃からはケント伯爵が登場します。初代伯爵はリオフワインとされ、彼の戦死とともにその世襲は途絶えました。以後、ケント伯の位はイギリスの君主によって6回叙爵された不安定な歴史がありました。

1067年、バイユー司教のオドに初めての伯爵位が与えられ、その後も幾度かの剥奪や再叙爵が行われました。最終的には1465年、エドマンド・グレイが叙爵され、その家系は第12代ケント伯ヘンリー・グレイまで続きました。

ケント公爵の確立

1710年、ヘンリー・グレイはケント侯爵、ハロルド伯爵およびゴドリッチ子爵に叙爵された後、さらにケント公爵の称号を与えられました。この名称は初めてのものであり、彼の死去後に多くの爵位が廃絶となりました。

1799年、国王ジョージ3世の四男エドワード・オーガスタスがケント＝ストラサーン公爵に叙爵されました。この際、ケントという名前はイングランドの地名から取られ、ストラサーンはスコットランドの地名に由来するものでした。しかし、エドワードも子を持たなかったため、この公爵位も一代限りでした。

近代におけるケント公爵

1934年、国王ジョージ5世の四男であるジョージ王子がケント公に叙爵されました。1942年には航空事故により彼が亡くなり、その地位は長男のエドワード王子が継承しています。こうして、ケント公爵は現在まで続いているのです。

現在の称号保持者

現在のケント公爵はエドワード・ジョージ・ニコラス・ポール・パトリックであり、彼の法定推定相続人はその長男であるセント・アンドルーズ伯爵です。また、彼の息子ダウンパトリック男爵も法定推定相続人とされています。

ケント公爵位の歴史は、王族や貴族の地位、そしてイギリスの歴史そのものを映し出す一面を持っています。力や権威の象徴としての役割を果たしつつ、長い歴史を経て次世代へと受け継がれてきたその価値を感じさせます。このように、ケント公爵はただの称号ではなく、イギリスの文化と歴史に深く根差した存在なのです。

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