ケン・アスプロモンテ

ケン・アスプロモンテ：異色の経歴を持つ名内野手

ケン・アスプロモンテ（Kenneth Joseph Aspromonte）は、1931年9月22日、ニューヨークで生まれました。彼は、メジャーリーグと日本プロ野球（NPB）で活躍した元プロ野球選手であり、引退後は監督も務めました。弟は同じくプロ野球選手で、広島東洋カープでコーチを務めたボブ・アスプロモンテです。NPBでの登録名は「アスプロ」でした。

波瀾万丈の選手生活

ラファイエット高校卒業後、1950年にボストン・レッドソックスと契約し、プロのキャリアをスタートさせました。1957年にメジャーリーグに初昇格を果たしますが、その後は多くの球団を渡り歩きます。ワシントン・セネタース（後のミネソタ・ツインズ）、クリーブランド・インディアンス、ロサンゼルス・エンゼルス、ミルウォーキー・ブレーブス、シカゴ・カブスと、目まぐるしい移籍を繰り返しました。

1964年、アスプロモンテはNPBの中日ドラゴンズに入団します。主に遊撃手としてプレーし、その冷静な判断力と堅実な守備、そしてチームバッティングでファンを魅了しました。規定打席には届かなかったものの、打率.282という好成績を残しています。

しかし、翌1965年のある試合でのこと。2打席連続三振に終わったアスプロモンテは、球審に激しく抗議し、バットを投げ捨てるという行為に出てしまいます。さらに、ベンチに戻ってからも怒りが収まらず、椅子を蹴飛ばし、冷水器をひっくり返すなど、大暴れしました。この行為が当時の監督であった西沢道夫の逆鱗に触れ、交代を命じられた上に、ユニフォームを着用することさえ禁じられてしまいます。その後、コーチの助言を受け、西沢監督の自宅を訪れて謝罪し、5万円の罰金を支払うことでようやく復帰を許されました。これは、NPBの外国人選手として初めて支払った罰金でもありました。しかし、成績は低迷し、同年限りで中日を解雇されることとなりました。

1966年には大洋ホエールズ（現：横浜DeNAベイスターズ）でプレーしますが、ここでも目立った活躍はできず、同年限りで退団し、帰国しました。

指導者としての才能

帰国後は、メジャーリーグの各球団でスカウトを務める傍ら、1969年から1971年までインディアンス傘下のマイナーチームで監督として指導にあたりました。そして、1972年から1974年までの3年間、クリーブランド・インディアンスの監督を務めました。監督就任時の年俸は27,000ドルと破格の安さだったとされています。インディアンスの監督時代には、日本独特の戦法とされる「偵察オーダー」を用いた打順を組むなど、日本の野球にも関心を示していました。

監督退任後は、ラスベガスのクラブの総支配人や、ヒューストンでビール会社に勤務するなど、野球界を離れた職に就きました。

ケン・アスプロモンテは、選手としてはもちろん、監督としてもその手腕を発揮し、野球界に大きな足跡を残しました。その波瀾万丈な野球人生は、多くのファンに語り継がれています。

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