ケーニヒスベルク大聖堂

ケーニヒスベルク大聖堂：歴史と文化が交差する場所

ケーニヒスベルク大聖堂は、ロシアのカリーニングラード（旧ドイツ領ケーニヒスベルク）に位置する、壮麗なレンガ造りのゴシック様式の大聖堂です。1333年から1380年にかけて建設され、プラハのアダルベルトと聖母マリアに捧げられました。プレーゲル川（プレゴリャ川）の中州、クナイプホーフ（カント島）に建ち、その美しい姿は街のシンボルとなっています。

大聖堂の歴史

14世紀、サムランド司教ヨハンクレアの主導により、カトリック教会として建設されました。沼地の多い土地に建てられたため、基礎には多くのオークの木の柱が使用されています。約50年の歳月をかけて1380年までに大方完成し、その後もフレスコ画の制作が続けられました。聖堂内には、14～15世紀の壁画や後期ゴシックの木彫、中世の記念碑などが内蔵されており、中でもコルネリス・フロリス作のプロイセン公アルブレヒト像は特に有名です。プロイセン公アルブレヒトとその親族は、この大聖堂に埋葬されました。

1523年にはルター派の説教が行われ、以降1945年までプロテスタント教会として機能しました。当初は2本の尖塔を持っていましたが、1544年の火災で両方とも失われ、その後1本のみが再建されました。1640年には尖塔に時計が設置され、1650年からは図書館も併設されました。1695年にはオルガンが設置され、音楽の殿堂としての役割も担いました。

しかし、1944年8月、第二次世界大戦中のイギリス空軍による空襲で街は壊滅的な被害を受け、大聖堂も甚大な損傷を受けました。空襲を逃れるために約100人が聖堂に避難しましたが、多数の犠牲者が出ました。終戦後、ケーニヒスベルクはソ連に割譲され、カリーニングラードと改名されました。大聖堂は長らく廃墟として放置され、1970年には敷地内にソビエトの家の建設が開始されました。

大聖堂の再建

1990年代に入り、大聖堂の修復を求める声が高まり、1994年にはヘリコプターを使って新しい尖塔が設置されました。1995年には尖塔に新しい時計が取り付けられ、1996年から1998年にかけてはステンドグラスや屋根の修復が行われました。現在、尖塔の時計は4つの鐘を備え、1時間に4回、ベートーヴェンの交響曲第5番を奏でています。

現在の大聖堂

現在、大聖堂はルター派とロシア正教会の2つの礼拝堂と博物館を擁しています。ルター派の礼拝堂は、第二次世界大戦中の空襲で大聖堂内で亡くなった人々を追悼するために設けられました。

カントの墓所

大聖堂の北東の角には、ケーニヒスベルク出身の哲学者イマヌエル・カントの霊廟があります。カントは、この街が生んだ最も著名な人物の一人であり、彼の墓所は多くの訪問者にとって特別な場所となっています。

ケーニヒスベルク大聖堂は、歴史の荒波を乗り越え、文化と信仰の象徴として今もカリーニングラードに立ち続けています。その壮麗な姿は、訪れる人々に深い感動を与え、過去と未来を結びつける架け橋となっています。

外部リンク

КАФЕДРАЛЬНЫЙ СОБОР(ロシア語、英語) ケーニヒスベルク大聖堂のホームページ。

もう一度検索