ゲオルク・オストロゴルスキー

ゲオルク・オストロゴスキー：ビザンツ史研究の巨星

ゲオルク・オストロゴスキー（Georg Ostrogorsky, 1902年1月29日 - 1976年10月24日）は、ロシア帝国（現ロシア）生まれの歴史学者であり、ドイツとユーゴスラビアで活躍しました。彼は、フランスのポール・ルメルルと並び、20世紀を代表するビザンツ（東ローマ）史研究者の一人とされています。

生涯

1902年、オストロゴスキーはロシア帝国の首都サンクトペテルブルクで誕生しました。ロシア革命後、一家は革命の混乱を避けてドイツへ移住。ゲオルクはハイデルベルク大学とパリ大学で学び、哲学博士号を取得しました。その後、1928年にブレスラウ大学の助教授、1933年にはベオグラード大学の教授に就任しました。

第二次世界大戦中の1940年、彼の代表作である『ビザンツ帝国史』の初版が刊行されました。この著作は、政治史だけでなく、ビザンツ文化や正教会の歴史にも光を当てたもので、豊富な史料と文献に基づいて緻密に構成されています。簡潔かつ包括的な内容で、古典的名著として広く認められ、多くの言語に翻訳されました。

1948年、オストロゴスキーはユーゴスラビアのセルビア学士院ビザンツ研究所の初代所長に就任しました。また、各国の学会の会員にも選出され、世界のビザンツ学界における指導者として活躍しました。1976年、ベオグラードで生涯を閉じました。

業績

オストロゴスキーの最大の功績は、何と言っても『ビザンツ帝国史』です。この著作は、ビザンツ帝国の政治、社会、文化、宗教を網羅的に扱っており、ビザンツ史研究における基礎文献としての地位を確立しています。彼の研究は、その後のビザンツ史研究に多大な影響を与え、今日でもビザンツ帝国を学ぼうとする人々にとって、最も重要な入門書の一つとされています。

また、オストロゴスキーは、ビザンツ社会における封建制についても研究を行い、『ビザンツ封建制』などの著作を発表しています。これらの研究を通じて、ビザンツ社会の構造や変遷を明らかにし、ビザンツ史研究の深化に貢献しました。

主な著作

『聖画論争』(1929年、原題: Studien zu Geschichte des byzantinischen Bilderstreites)
『ビザンツ帝国史』(1940年（1952年改訂二版、1963年改訂年三版）、原題: Geschichte des Byzantinischen Staates)。日本語訳は和田廣訳、2001年に恒文社より出版。
* 『ビザンツ封建制』（1954年　原題: Pour I'histoire de la fèodalitè byzantine)

ゲオルク・オストロゴスキーは、その卓越した研究業績によって、ビザンツ史研究の発展に大きく貢献しました。彼の著作は、今日でも世界中の研究者や学生に読み継がれており、彼の学問的遺産は、これからもビザンツ史研究の道標であり続けるでしょう。

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