ゲキトウ

ゲキトウ

作品概要

漫画家・島本和彦による日本の漫画作品『ゲキトウ』は、『イブニング』（講談社）にて連載されました。本作は、作者の代表作の一つである『逆境ナイン』（『月刊少年キャプテン』連載）の直接的な続編に位置づけられます。

本作は連載中に単行本第1巻が刊行されましたが、残念ながら売れ行きが芳しくなく、連載の打ち切りが決定します。物語は区切りの良い場面で終了したものの、単行本に必要なページ数には満たなかったため、第2巻は発売されませんでした。しかし、その後2010年3月13日には、徳間書店から未収録分を含む形で全内容を収録した完全版が発売されています。

略称

前作『逆境ナイン』が「Gyakkyou 9」を略して「GK9」と呼ばれていたのに対し、本作『ゲキトウ』は「Geki 10」をもじって「GK10」という略称が使われています。この略称は、単行本の表紙などでも確認することができます。

あらすじ

前作『逆境ナイン』での活躍を経て、主人公の不屈闘志は念願のプロ野球選手（ヨーグル・ストローズ）となります。しかし、球団からの度重なる無茶な起用により腕を痛めてしまい、プロ野球選手としてのキャリアを終え、引退を余儀なくされます。一度は野球から離れた不屈でしたが、再びプロのマウンドに立つことを諦めきれず、全球団合同のトライアウトに挑むことを決意します。

ところが、このトライアウトは球団側の資金不足から新人獲得の意向がなく、あくまで形式的に開催されるものでした。どんなに優れた才能を持つ選手が現れても、どの球団も採用するつもりは全くなかったのです。そのような絶望的な状況の中、不屈はただ一人、本気で合格を目指し、次々と立ちはだかる様々な試練や困難を乗り越えていきます。本作は、その不屈が逆境に立ち向かう姿を熱く描いた物語です。

主な登場人物

不屈闘志（ふくつ とうし）：
本作の主人公であり、前作『逆境ナイン』の主人公その人。プロ入り後、怪我で引退しましたが、プロ復帰を目指しトライアウトに挑戦します。前作では坊主頭など癖のある短髪でしたが、本作ではスキンヘッドに変わっています。現在は結婚しており、トライアウトには妻と子供も応援に訪れます。
月田明子（つきだ あきこ）：
前作にも登場した人物。本作ではデリバリースポーツ新聞の記者として登場します。
不屈魂士（ふくつ こんし）：
不屈闘志の息子。母親と共にトライアウト会場に姿を見せますが、会場では携帯ゲーム機（ボンバーマン）に夢中になっています。
不屈唯（ふくつ ゆい）：
不屈闘志の妻（旧姓不明）。元局アナウンサーで、約10年前に不屈を連れて行方をくらませた過去があります。
南無三蔵（なむ さんぞう）：
1935年生まれ。元ヨーグル・ストローズ監督。不屈闘志に「無理」と言わせず、異常なほどの酷使で15年ぶりのチーム優勝を達成させました。その後、万神タイマーズなどの監督を経て、現在はノンプロチーム「ジラックス」の監督を務めています。
児玉勝利（こだま しょうり）：
元ヨーグル・ストローズの投手コーチ。
古茶（こさ）：
元ヨーグル・ストローズの捕手。冷静な判断で、不屈が逃亡する場面を後押ししました。
風巻凱介（しまき がいすけ）：
14年前に肘を故障し、10年前のシーズンではほとんど起用されなかった選手。不屈と不思議なパルスを共鳴させ、そのシーズンで優勝投手となりました。
アーサー・ヒルバン：
プロ野球球団の監督。当時の北海道日本ハムファイターズ監督であったトレイ・ヒルマン氏がモデルとされています。名前は、朝昼晩と練習すること（あるいは練習させること）に由来し、「朝（アーサー）・昼晩（ヒルバン）」と命名されました。作者のコメントによれば、後に不屈を入団させる構想があったようです。

関連項目

GREAT：
島本和彦による短編読み切り作品。本作から不屈魂士がゲストキャラクターとして登場しています。

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