ゲゲゲの鬼太郎 (テレビアニメ第4シリーズ)

『ゲゲゲの鬼太郎』のテレビアニメシリーズとして、1996年1月7日から1998年3月29日にかけてフジテレビ系列で放送された第4作は、全114話が制作されました。

作品の特徴

本作は、先行する第3シリーズがエンターテイメント性を追求したのに対し、水木しげるの原作が持つ独特の雰囲気や世界観をより忠実に表現することに重点を置いた、クールで落ち着いた作風が特徴です。キャラクター描写においても、たとえばねずみ男の羽織の色が初めて原作通りの黄土色になるなど、細部への配慮が見られました。また、放送時間帯が初めて日曜朝9時台に移動したエポックメイキングなシリーズでもあります。

制作の背景と技術

制作を担当したのは東映アニメーション（放送当時は東映動画）で、このシリーズは同社にとって初めての本格的なデジタルアニメーション制作作品としても位置づけられています。特に、放送2年目となる第64話以降は、仕上げや撮影といった工程にデジタル技術が導入され、大幅なコスト削減と省力化が実現しました。同時に、音声もステレオ化され、サウンド面でも進化が見られました。使用されたソフトウェアはRETAS! Proで、解像度は144dpiでした。

ストーリーとキャラクター

ストーリー面では、初期シリーズへの回帰が見られる一方で、原作のエピソードを大胆にアレンジした物語も多く存在します。感動的な結末を迎える話がある一方で、妖怪側が救われないという、ある意味原作らしいほろ苦い展開を見せるエピソードもありました。第57話に俳優の佐野史郎、第101話に作家の京極夏彦がゲスト出演（京極は脚本も担当）した回は特に話題となり、異色作として知られています。

主要キャラクターでは、鬼太郎役の松岡洋子、目玉おやじ役の田の中勇（前シリーズから続投）は全ての回に登場しましたが、ねずみ男役の千葉繁は2話のみ欠席しました。鬼太郎ファミリーの声優陣は、目玉おやじを除いて一新されましたが、第2シリーズで砂かけ婆を演じた山本圭子や、ゲスト出演ながら閻魔大王を演じた柴田秀勝が再び同役でレギュラーとして参加しています。物語の中盤からは、ぬらりひょん（西村知道）と朱の盆（郷里大輔）のコンビが鬼太郎の宿敵として再び登場し、激しい戦いを繰り広げました。人間側のレギュラーとして登場した3人の小学生は、シリーズ後半になるにつれて登場回数が減少しました。

音楽

劇伴音楽は和田薫が担当し、和楽器と管弦楽を組み合わせることで、妖怪たちの世界観を独特の雰囲気で彩りました。この音楽スタイルは、後のシリーズにも影響を与えています。主題歌には実力派ブルースバンドである憂歌団が起用され、オープニング、エンディング共に初期シリーズのアレンジに近いブルース調の楽曲が使用されました。特にエンディングでは、前期に「カランコロンのうた」、後期に「イヤンなっちゃう節」が流れ、作品の空気感を演出しました。

放送と人気、関連展開

本作はフジテレビ系列での安定した人気を獲得し、全114話というレギュラーシーズンとしては歴代最多の放送話数を記録しました。放送終了後、後番組としては『ひみつのアッコちゃん（第3作）』が始まりました。

テレビシリーズの他にも、劇場版が『大海獣』、『おばけナイター』、『妖怪特急! まぼろしの汽車』と3作制作され、さらにドームスクリーン映画や3D映画といった特殊上映作品、著作権に関する学習ビデオなども作られました。ソフト化についても、VHSやDVD（全話収録のBOXやレンタル版）がリリースされており、近年ではリマスター版がCS放送などで再放送されるなど、現在も多くのファンに親しまれています。

番組の次回予告は、鬼太郎と目玉おやじの掛け合いが基本スタイルでしたが、時には他のキャラクターが登場することもありました。鬼太郎の「君の後ろに黒い影」という決め台詞も印象に残っています。

主要キャスト：鬼太郎（松岡洋子）、目玉おやじ（田の中勇）、ねずみ男（千葉繁）、ねこ娘（西村ちなみ）、砂かけ婆（山本圭子）、子なき爺（塩屋浩三）、一反木綿／ぬりかべ（龍田直樹）など。
主なスタッフ：シリーズディレクター（西尾大介）、キャラクターデザイン／総作画監督（荒木伸吾、姫野美智）、音楽（和田薫）など。

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