ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣

ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦！ 南海の大怪獣

『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦！ 南海の大怪獣』は、1970年8月1日に公開された特撮映画で、昭和45年の夏休みに合わせての上映でした。東宝製作によるこの作品は、特撮の第一人者である円谷英二が亡くなった後、彼の愛弟子である有川貞昌が特撮監督を務めるという重要な意義を持っています。作品自体は、これまでにない非人型の怪獣たちが登場し、観る者に新たな目撃体験を提供しました。

作品の概要

本作は、特撮パートにおいて新たな方向性を追求しており、怪獣たちのリアリティーや操演技術が特に高く評価されています。脚本には初めて小川英が関与し、これまでにない怪獣像を描こうとする意気込みが感じられます。しかし、キャラクターたちの魅力の不足から、興行的には成功を収めるには至りませんでした。また、この作品をもって、従来の体制で作られた東宝特撮映画が一旦幕を下ろしたともいえます。

あらすじ

物語は、無人ロケット「ヘリオス7号」が宇宙でアメーバ状の生物に寄生され、失踪するところから始まります。数か月後、週刊誌のカメラマンである工藤太郎は、セルジオ島に落下したロケットの調査に乗り出します。この島では、アジア開拓による観光開発計画が進行中であり、現地の技師たちは大怪獣の襲撃に遭遇します。怪獣の正体は、宇宙生物に寄生されて巨大化したイカ「ゲゾラ」であることが判明します。

工藤たちが島に到着すると、島民はゲゾラを島の伝説上の怪物とみなし、恐れおののいていました。工藤はゲゾラとその恐ろしさを知るにつれ、島民との協力を通じて怪獣に立ち向かいます。さらにゲゾラを倒した後も、他の怪獣、巨大カニの「ガニメ」や巨大カメの「カメーバ」が現れるという展開が待ち受けていました。

怪獣たち

本作では、3体の新怪獣が登場します。

• - ゲゾラ: 宇宙生物によって寄生され、巨大化した使者。冷たい体温から超音波や高熱に弱い。
• - ガニメ: ゲゾラから分離した存在で、堅い甲羅を持っています。超音波には脆弱で、能力を制約されることが多い。
• - カメーバ: 別の生物に取りつかれた巨大カメ。この怪獣も超音波の影響を受け、強力な敵として工藤たちを襲いました。

キャスト

本作のキャストには、本多猪四郎監督の手による選抜された俳優たちが集まり、特に主人公の工藤太郎を演じた久保明やヒロインの星野アヤ子を演じた高橋厚子の演技が光ります。物語を通して彼らのキャラクター発展や成長が描かれ、観客に親しみをもたらしました。

製作背景

本作は1966年に計画されたが、一度は見送られるような経緯をたどりました。急を要する製作が求められた結果、1970年に特撮映画として完成させる運びになったのです。撮影には八丈島が選ばれ、厳しい自然条件下での撮影が行われ、スタッフは多くの困難を味わいました。

音楽

音楽は伊福部昭が担当し、各怪獣専用のテーマが作曲されています。特に、ガニメに関しての曲は作品の特徴を際立たせる重要な役割を果たしました。

このように『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦！ 南海の大怪獣』は、特撮映画の中でも特異な存在感を持ちつつも、興行的には期待を下回った作品となってしまったのです。しかし、そのユニークさは後の特撮映画へと繋がる重要な資産となりました。

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