ゲット・ラウド ジ・エッジ、ジミー・ペイジ、ジャック・ホワイト×ライフ×ギター

『ゲット・ラウド ジ・エッジ、ジミー・ペイジ、ジャック・ホワイト×ライフ×ギター』（It Might Get Loud）は、2008年に制作され、2009年にアメリカで公開、2011年には日本で公開された音楽ドキュメンタリー映画です。アカデミー賞受賞監督デイビス・グッゲンハイムが手がけた本作は、U2のジ・エッジ、レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジ、そしてホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトという、3人の異なる世代とスタイルを持つギターヒーローたちをフィーチャーしています。

映画は、ジャック・ホワイトが自作の一弦ギターを即興で製作し演奏する、衝撃的なシーンから始まります。彼はその演奏後、「ギターを買う必要はない」と断言し、本作のテーマである「ギター」に対する独自の視点、そして彼自身の自由奔放な音楽哲学を鮮やかに示します。

その後、ドキュメンタリーは3人のギタリストの個別のインタビューや演奏風景を織り交ぜながら展開していきます。エッジの高度なエフェクターシステムとテクノロジーを駆使したサウンドメイキング、ペイジのブルージーで力強いプレイスタイル、そしてホワイトのローファイで独自の感性に基づいた演奏スタイル。3人の音楽性はそれぞれ異なり、その対比が明確に描かれています。

特に興味深いのは、彼らがそれぞれのキャリアや音楽観について語るインタビューシーンです。エッジはテクノロジーの進化とギターの可能性を語り、ペイジはロック史に残る名曲の数々を創作した経験を振り返り、ホワイトはテクノロジーへの懐疑的な姿勢を表明します。彼らの発言からは、長年に渡る音楽活動を通して培われた経験と深い洞察が感じられ、リスナー、そして視聴者にとって大きな刺激となります。

3人のギタリストは、音楽性だけでなく、年齢やバックグラウンドも大きく異なります。そのため、最初は互いに緊張感を抱いていた様子がうかがえます。ホワイトは、3人が出会ったらケンカになるかもしれないとまで発言しています。しかし、ドキュメンタリーの中で、彼らは音楽を通して徐々に理解を深め、互いの才能と個性を認め合う様子が映し出されています。

映画の後半では、3人が共演するジャムセッションが繰り広げられます。ペイジがレッド・ツェッペリンの名曲を演奏し始めると、エッジとホワイトが加わり、世代を超えたセッションは、それぞれの技術と創造性が融合した、圧巻の演奏へと発展していきます。セッション後には、3人は固い友情で結ばれたかのように、握手を交わし、抱擁を分かち合います。

『ゲット・ラウド』は、単なるギター演奏のドキュメンタリーにとどまりません。3人のミュージシャンの人物像、彼らが持つ音楽への情熱、そして音楽を通して築かれた友情、それらすべてが丁寧に描かれ、見る者に深い感動を与えます。音楽史に名を刻んだレジェンドたちの集大成とも言える本作は、ギターを愛する人、そして音楽を愛するすべての人にとって、必見の作品と言えるでしょう。

もう一度検索