ゲティ・センター・トラム

概要

ゲティ・センター・トラム（英: Getty Center Tram）は、アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス市に位置するJ・ポール・ゲティ美術館の敷地内で運行されている、重要なアクセス手段としての役割を担う移動設備です。このシステムはオーティス・ホバー社によって開発・提供された技術に基づいており、訪問者はこのトラムを利用して、敷地入口近くの駐車場から高台にあるゲティ・センター本体へと移動します。

本システムは、ピープルムーバーの一種として設計されており、合計6両の車両が、それぞれ3両からなる2つの編成に分けられて運用されています。特徴的なのは、電化されたケーブルによって牽引される駆動方式を採用している点と、軌道上をわずかに浮上して走行する「浮上列車」としての特性を持つ点です。この浮上機構により、より滑らかな走行が可能となっています。

歴史

ゲティ・センター・トラムの建設計画は、美術館の開館に先立つ早い段階、具体的には1988年には既に構想されていました。これは、ブレントウッド地区の高台に位置するゲティ・センターへの来館者がスムーズにアクセスできる手段を確保するためでした。長期にわたる計画と建設期間を経て、ゲティ・センターの開館に合わせて、このトラム路線は1997年末に正式に開業しました。

経路

このトラム路線は、ロサンゼルス市のウェストサイド地域、特にブレントウッドの北側に位置しています。起点は、セプルベダ通りおよびサンディエゴ高速道路（州間高速道路405号線）のそばにある、来館者用大規模駐車場に隣接した麓駅です。

麓駅（北緯34度05分15.8秒 西経118度28分32.8秒）は、ゲティ・センターが立つ丘の底部に設けられています。

終点は、丘の頂上に位置するゲティ・センター本体の到着広場にある頂上駅（北緯34度04分42.1秒 西経118度28分29.9秒）です。この頂上駅は、ゲティ・センターの建物の構造の一部として一体的に設計されています。

トラムの走行経路は、ゲティ・センター・ドライブと呼ばれる敷地内の主要道路に沿うように設定されており、麓駅から頂上駅まで、緩やかな勾配を上りながら進みます。全区間の距離は約1.21キロメートル（約0.75マイル）で、片道の乗車時間は約3〜4分程度です。

路線の中間地点には交換線が設けられており、これにより上り列車と下り列車が効率的にすれ違うことが可能となり、2つの編成が交互に運行することで、ピーク時にも比較的短い待ち時間でサービスを提供しています。このトラムは、ゲティ・センターを訪れる人々にとって、広大な敷地内を快適に移動するための不可欠な交通手段となっています。

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