ゲルト・フレーベ

ゲルト・フレーベについて

ゲルト・フレーベ（Gert Fröbe, 1913年2月25日 - 1988年9月5日）は、ドイツの著名な映画俳優であり、特に国際的に名を馳せた人物です。彼の生まれ故郷は、ドイツ帝国のザクセン王国にあるツヴィッカウで、1948年に映画デビューを果たしました。それ以降、彼は西ドイツ国内外で100本以上の映画に出演し、幅広いジャンルにわたる役柄を演じてきました。

初期のキャリアと国民的俳優への道

ゲルト・フレーベは、特に1960年代から国際的な映画に頻繁に出演し始めます。その中でも特筆すべきは、1964年の007シリーズ第3作『007 ゴールドフィンガー』における悪役、ゴールドフィンガーの役です。この役は彼にとって最も象徴的なものの一つであり、国際的な知名度を一気に高めました。また、彼は1968年の『チキ・チキ・バン・バン』でも、ボンバースト男爵役として広く知られています。

彼の演技は、整った風貌と圧倒的な存在感によって支えられており、特に西ドイツ本国では「国民的俳優」として人気を博しました。その評価は非常に高く、国民栄誉賞を受賞し、彼の名は映画史に刻まれています。さらには、彼を記念して切手が発行されるほどでした。俳優としてのキャリアだけでなく、隠れた才能としてバイオリン奏者でもあった彼の多才ぶりも興味深いです。

戦争とユダヤ人への援助

フレーベはナチス政権下でナチス党員であったことが知られていますが、実際にはその肩書きを利用してユダヤ人の救助活動に従事していました。彼は1929年から1937年の間、党員として活動しましたが、第二次世界大戦中にはユダヤ人の国外脱出を手助けし、ウィーンでは彼らをかくまうこともしていました。この事実が戦後になって明らかになるまでは、イスラエルで彼は「元ナチス党員の俳優」として知られており、これが原因で『007 ゴールドフィンガー』の上映が禁止されていたこともあります。

日本との関わり

フレーベは日本とも深い関わりがあります。1956年に撮影された日本（松竹）・フランス合作映画『忘れえぬ慕情』では、全ての撮影が日本国内で行われました。その際、彼は同年の4月20日に来日し、共演の岸惠子と共に素晴らしい作品を作り上げました。また、1965年の映画『素晴らしきヒコーキ野郎』では、石原裕次郎と共演しており、日本の映画界との強い絆を持っていました。

結び

ゲルト・フレーベは、彼の俳優としての成功やユダヤ人への支援活動を通じて、多くの人々に影響を与えた人物です。1988年にミュンヘンで心臓発作により亡くなるまで、彼は多彩な才能を持った役者として、多くの名作に出演し続けました。彼の業績は今なお、多くのファンの記憶に残り、映画史にその名を刻んでいます。

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