ココ (ゴリラ)

ココ (ゴリラ)

ココ（Koko, 本名: Hanabi-ko, 1971年7月4日 - 2018年6月19日）は、メスのローランドゴリラであり、手話（アメリカ手話）を使って人間と意思疎通を行ったことで世界的に知られています。身長175cm、体重127kg。

生涯

ココは生後3ヶ月の時に病気を患い、その際に発達心理学の研究者であるフランシーヌ・パターソン博士と出会い、手話を教わることになりました。2012年の時点で使用できる手話の単語は2000語を超え、嘘やジョークを言うこともあったとされています。

本名の「ハナビコ」は「花火子」と書き、ココの誕生日に当たるアメリカ独立記念日に打ち上げられる花火にちなんで名付けられました。

猫のボールとのエピソード

ココのエピソードの中でも特に有名なのが、子猫のボール（ALL BALL）との交流です。パターソン博士がココに絵本を読み聞かせている際、ココは絵本に出てくる猫に興味を持ち、誕生日に猫をプレゼントしてほしいと伝えました。最初はおもちゃの猫を与えられましたが、ココは満足しませんでした。

そこで、ゴリラが他の動物をペットとして飼育できるのかを確かめる実験も兼ねて、本物の生きた子猫を与えることになりました。候補となった3匹の子猫の中から、ココは自分と同じように尻尾のない子猫を選び、「ボール」と名付けました。

飼育員たちは最初、ココがボールを傷つけるのではないかと心配していましたが、ココはボールを優しくなめたり、抱きしめたりして、愛情を込めて育てました。しかし、ある日ボールは交通事故で亡くなってしまいます。

パターソン博士が手話でボールの死を伝えると、ココはしばらく沈黙した後、「話したくない」と答え、ボールへの愛情や悲しみを表す言葉を手話で繰り返し、大きな声で泣き続けました。この時の様子は映像にも記録されており、ココの悲しむ姿が確認できます。

ココは「死」の概念も理解しており、「ゴリラはいつ死ぬのか」という質問には「年をとり、病気で」と答えました。「その時何を感じるのか」という問いには「眠る」と答え、さらに「死んだゴリラはどこへ行くのか」と聞かれると「苦痛のない穴に、さようなら」と答えたとされています。

ボールの死後も、ココはLIPS LIPSTICK、SMOKY、TIGERといった猫たちと仲良く暮らしました。
2018年6月19日、46歳で生涯を閉じました。

研究方法と批判

ココが手話を理解し、使用していたことについては、研究方法に対する批判も存在します。心理学者のマーク・サイデンバーグは、パターソン博士らの研究が一般的な研究方法や査読を受けた論文として報告されていない点を指摘しています。

ココが使用していた手話は、一般的なアメリカ手話ではなく、ココが独自に作り出した「ゴリラ手話」であるという指摘もあります。ココとの会話を理解できるのはパターソン博士とその周辺の数人のみであり、恣意的な解釈が行われているのではないかという批判も存在します。

一般の人々との交流イベントも開催されていましたが、パターソン博士が常に翻訳を担当していました。会話が成立しなかった場合、「嘘」として処理されていた可能性も指摘されています。

猫の死を悲しむ映像について

テレビ番組で放送されたココが猫の死を悲しむ映像は、異なる場所で撮影された複数の映像を組み合わせ、ナレーションによって一連の流れとして編集されたものであるという指摘もあります。

参考文献

フランシーヌ・パターソン、ユージン・リンデン 『ココ、お話しよう』 どうぶつ社〈自然誌選書〉、1995年。ISBN 4886222811。
フランシーヌ・パターソン、ルド・H・コーン（写真） 『ココ―ゴリラと子ネコの物語』 松沢哲郎（監修）、宮木陽子訳、あかね書房〈あかね・新えほんシリーズ〉、2002年。ISBN 4251009320。

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