ココシリ (映画)

映画『ココシリ』について

『ココシリ』（原題：可可西里）は、2004年に公開された中国の映画で、陸川（ルー・チュアン）監督による作品です。この映画は、チベット高原北部に広がる美しい自然とともに、そこに生息するチベットカモシカを密猟から保護するために活動する有志のパトロール隊に焦点を当てています。

背景・ストーリーの概要

ココシリは平均海抜4,700メートルに位置し、「中国最後の秘境」と称されています。しかし、1985年以降、チベットカモシカの毛皮が高値で取引されるようになり、乱獲が進行しました。これにより、数年のうちに生存数は1万頭にまで減少しました。これを受けて、地域の住民や元軍人たちが集まり、密猟者を取り締まるための民間パトロール隊が結成されました。 フィクションではありながら、実際のパトロール活動を元にしたストーリーが展開されます。

隊の隊長であるリータイは、密猟と戦うために情熱を注いでいましたが、ある日、隊員の一人が密猟者によって命を奪われるという衝撃的な事件が発生します。この悲劇は隊員たちの心に深い傷を残し、隊の活動はさらに厳しさを増します。

密猟者との対立と人間ドラマ

映画は、ガイという取材者の視点を通じて進行します。彼はココシリのパトロール隊に同行し、密猟者との対決を追いかける中で、人間の弱さや葛藤を描写しています。

3日目には、湖の畔で無数のチベットカモシカの死体が発見され、隊員たちはその密猟者たちを追いかける決意を固めます。7日目には密猟者を発見し、隠していた毛皮の一部も押収しますが、捕まったのは密猟の手伝いをした農民たちであり、彼らも生計を立てるために密猟者に手を貸さざるを得ない状況にあることが明らかになります。

状況は厳しく、リーダーのリータイは仲間を助けるために苦渋の決断を下します。捕まえた農民たちをその場に残すことや、押収した毛皮を売る判断は、隊員たちが直面する現実の厳しさを象徴しています。

結末と意義

密猟者との追跡劇は続く中、様々な困難を乗り越えようとする隊員たちの姿が描かれますが、最終的には仲間たちを失い、リータイも決して安穏ではいられない状況に直面します。最終的に、ガイの報道が大きな反響を呼び、1年後にはココシリが国家自然保護区に指定され、チベットカモシカの数も回復を果たすことになります。

受賞歴

『ココシリ』は、公開当時高い評価を受け、第41回金馬奨最優秀作品賞や最優秀撮影賞をはじめ、数々の賞を受賞しました。また、国際的な映画祭においても特別な評価を受けるなど、多くの人々に感銘を与えました。

この映画は、自然環境の保護だけでなく、人々の暮らしや倫理的課題に警鐘を鳴らす重要なメッセージを持った作品であり、多くの観客に影響を与えたことは間違いありません。

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