コテングコウモリ

コテングコウモリ（Murina ussuriensis）

コテングコウモリは、ヒナコウモリ科テングコウモリ属に分類される小型のコウモリで、その名の通り、天狗のような管状の鼻孔が特徴的です。かつてはニホンコテングコウモリ（Murina silvatica）と同一種とされていましたが、近年では別種とする意見も存在します。

分布

コテングコウモリは、シベリア東部からサハリン、千島列島、朝鮮半島、そして日本にかけて広く分布しています。日本では、北海道から本州、四国、九州、屋久島、対馬といった地域で生息が確認されています。

形態

コテングコウモリは、前腕長が29〜33mm、頭胴長が41〜54mm、尾長が26〜33mm、体重が3.5〜6.5gと、テングコウモリよりも小型です。体色は黄茶褐色をしており、短い鼻と丸い耳が特徴的です。

生態

コテングコウモリは、樹洞を主なねぐらや昼間の隠れ家として利用します。その他、灌木の茂みや洞窟、人家の隙間など、様々な場所で休息している姿が観察されています。また、冬眠時には雪の中に潜り込んで寒さをしのぐことも知られています。アカメガシワの枯れ葉の中で休眠したり、人工ねぐらを積極的に利用したりすることも確認されています。

食性は昆虫食で、主に飛んでいる昆虫や葉の上にいる昆虫を捕食します。

生息状況

コテングコウモリは、生息地の破壊や減少、農薬の使用などにより、生息数を減らしており、多くの都道府県でレッドデータブックに掲載されています。地域ごとの評価は以下の通りです。

北海道：希少種 (R)
青森県：重要希少野生生物(Bランク)
岩手県：Cランク
宮城県：絶滅危惧Ⅱ類(VU)
秋田県：絶滅危惧種Ⅱ類(VU)
山形県：情報不足(DD)
福島県：希少（D)
茨城県：絶滅危惧種（E)
栃木県：絶滅危惧Ⅱ類（Bランク）
群馬県：注目
埼玉県：絶滅危惧Ⅱ類（VU)
神奈川県：絶滅危惧I類（CR+EN）
新潟県：絶滅危惧Ⅱ類（VU）
富山県：希少種
石川県：準絶滅危惧（NT）
山梨県：絶滅危惧Ⅱ類（VU）
長野県：情報不足（DD）
岐阜県：準絶滅危惧
静岡県：情報不足（DD）
愛知県：絶滅危惧IA類（CR）
三重県：情報不足
滋賀県：要注目種
京都府：絶滅寸前種
奈良県：絶滅危惧種
兵庫県：要調査
島根県：準絶滅危惧（NT）
広島県：絶滅危惧Ⅱ類（VU）
徳島県：準絶滅危惧（NT）
愛媛県：情報不足（DD）
福岡県：情報不足（DD）
長崎県：情報不足（DD）
宮崎県：情報不足（DD-1,2）
鹿児島県：絶滅危惧Ⅱ類

保護の必要性

コテングコウモリは、森林生態系において重要な役割を果たしていると考えられています。そのため、生息環境の保全や保護対策の実施が急務となっています。

関連項目

コウモリ
日本の哺乳類一覧

参考文献

（元の情報源に記載されていた参考文献情報をここに追記）

外部リンク

* SEN-PULSE ページ

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