コピーレフト

コピーレフト：共有と発展のための著作権

コピーレフトは、著作権を保持したまま、作品を利用、改変、再配布することを許諾する考え方です。これは、従来の著作権の考え方とは対照的で、作品を共有し、共同で発展させていくことを重視しています。フリーソフトウェア運動において、リチャード・ストールマンによって提唱され、広く普及しました。

コピーレフトの核心

コピーレフトの根底には、ソフトウェアや作品を共有することで、より多くの開発者やクリエイターが参加し、技術や文化の発展を促せるという信念があります。そのため、コピーレフトライセンスでは、以下の点が特徴となります。

利用の自由: 誰でも自由に作品を利用できます。
改変の自由: 作品を自由に改変できます。
再配布の自由: 改変した作品を自由に再配布できます。
派生作品の条件: 派生作品を作成した際も、同じコピーレフトライセンスを適用する必要があります。これは、「ライセンス感染」と呼ばれる性質です。

この「ライセンス感染」は、コピーレフトの重要な特徴です。派生作品も同様に共有されることで、作品全体の改良と発展が促進されます。

コピーレフトの歴史と思想

コピーレフトという用語は、1980年代初頭にリチャード・ストールマンによって考案されました。これは、「Copyright — all rights reserved」のもじりで、「Copyleft — all rights reversed」という表現からきています。

コピーレフトの思想的背景には、著作物の共有による発展という考えがあります。従来の著作権制度では、複製や改変が制限されるため、既存の作品を改良して新しい作品を生み出すことが困難でした。コピーレフトは、この問題を解決するために考案されたのです。

ストールマンは、自身の開発したLISPインタプリタをシンボリックス社に提供した際、同社が改良した部分を公開しなかった経験から、コピーレフトの重要性を痛感しました。この経験が、コピーレフトライセンスの開発につながったのです。

法的・技術的背景

コピーレフトは、著作権法に基づいて成立しています。コピーレフトライセンスは、著作権を放棄するのではなく、利用条件を明確に示すことで共有を促進します。しかし、ライセンスに反する利用を防ぐため、法的強制力も必要不可欠です。

コピーレフトライセンスは、著作権の「再配布制限」を利用して、派生作品にも同じライセンスを適用させることで、「ライセンス感染」を実現しています。これは、いわば著作権の「ハック」であり、既存の著作権制度の枠組みの中で、共有を促進する新たな方法を編み出したと言えるでしょう。

代表的なコピーレフトライセンス

コピーレフトの考え方は、様々なライセンスに採用されています。代表的なものとしては、以下のものがあります。

GNU General Public License (GPL): フリーソフトウェア財団によって開発された、強いコピーレフト性を持つライセンスです。
GNU Lesser General Public License (LGPL): GPLよりも緩やかなコピーレフトライセンスです。
* Mozilla Public License (MPL): Mozillaプロジェクトによって開発されたライセンスです。

これ以外にも、オープンコンテンツライセンスやクリエイティブ・コモンズのCC BY-SAなど、コピーレフトの考え方を応用したライセンスが数多く存在します。

コピーレフトと他のライセンス

コピーレフトライセンスは、BSDライセンスやMITライセンスなどの、より制限の少ないライセンスとは対照的です。これらとの違いは、派生作品へのライセンスの適用にあります。コピーレフトでは、派生作品にも同じライセンスが適用されるのに対し、他のライセンスでは、そのような義務はありません。どちらのライセンスがより優れているかという議論はありますが、それぞれのライセンスは、異なる価値観に基づいて設計されていることを理解することが重要です。

まとめ

コピーレフトは、著作権の新たな可能性を示す、画期的な考え方です。ソフトウェアや作品を共有し、共同で発展させていくための、強力なツールとなっています。ただし、法的・技術的な側面を理解した上で、適切なライセンスを選択することが重要です。

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