コフンリッチ

コフンリッチ遺跡の魅力

コフンリッチはメキシコのキンタナ・ロー州に位置するマヤ文明の祭祀センターたる遺跡で、その歴史的な重要性が多くの研究者によって認識されています。この遺跡は、州都チェトゥマルから西へ約65キロメートル、さらに南へ9キロの距離にあり、ベリーズの国境に近接しています。周囲は熱帯雨林が広がっており、その自然環境は遺跡の魅力を一層引き立てています。

敷地面積はおよそ21エーカー（約85,000平方メートル）にわたり、遺跡の中心部には基壇や神殿、ピラミッド、宮殿、広場が配置されています。これらの構造物は、雨水が効率的にため池に流れ込むように精巧に設計されており、このことからコフンリッチが古典期において非常に重要な都市であったと考えられています。現在、遺跡には200基以上のマウントが点在しているものの、その大半は未発掘状態で、自然の植物に覆われた小山となっています。

考古学的な調査によれば、コフンリッチは紀元200年ごろから人々が定住を始め、主に宗教的な活動を行っていた祭祀センターとしての機能が発展していったと推測されています。特に、古典期前期の終わりから後古典期初めの1200年ごろまで、建設が続けられたとされています。また、ユカタン半島の北部低地と古典期のマヤ文明の中心地域である中部低地を結ぶ通商路の交差点としての重要な役割も果たしていたことが助けて、商業活動も活発に行われていたことでしょう。

この遺跡で特に注目されるのが、建造物A-1「マスクの神殿」です。これは遺跡内で最大の見所であり、2段の基壇の周囲には、神のマスクを象ったレリーフが並んでいます。左右それぞれには3体ずつ計6体（1体は盗掘によって失われているため、今は5体）が配置されています。これらのマスクは、かつて赤い化粧漆喰で彩色されていたと考えられ、古典期前期の建造物としてペテン地方の建築スタイルとの関連が示されています。

古代マヤ語でのコフンリッチの名称は未だ解明されていません。現在の名称は英語の「Cohoonridge」からの転訛であり、マヤ語風にアレンジされたものです。この遺跡を初めて探検したのは1912年、レイモンド・マーウィンであり、その際に近くの木材伐採キャンプの名前を基にコフンリッチと名付けました。

1968年には、部分的な盗掘によってマスクの神殿の存在が明らかとなり、ビクター・セゴビアの指導のもと、考古学者たちによるキンタナ・ロー州南部で初の本格的な考古学プロジェクトが始動しました。現在、コフンリッチ遺跡は一般に公開されており、訪れる観光客に古代マヤ文明の深い歴史に触れる機会を提供しています。遺跡を巡りながら、その壮大さと神秘に浸り、古代マヤ人の文化や信仰に思いを馳せることができるでしょう。

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