コブラ台風

コブラ台風について

コブラ台風（コブラたいふう、Typhoon Cobra）は、第二次世界大戦中の1944年12月に発生し、アメリカの太平洋艦隊に甚大な被害をもたらした熱帯低気圧です。この台風は、特にウィリアム・ハルゼー大将が指揮する第38任務部隊に影響を与えたことで知られており、「1944年の台風」または「ハルゼー台風」とも称されます。台風による被害は、日本側では観測されていなかったため、詳細な情報が現在も不明な点が多いですが、アメリカ海軍による観測記録は保存されています。

歴史的背景

1944年12月17日、台風はルソン島の東方、約480kmのフィリピン海で構成されていました。しかし、当時はレーダーなどの気象観測が未発達であったため、台風の進路予測が誤って行われました。この結果、艦隊は暴風圏内で航行することとなり、駆逐艦「スペンス」、「ハル」、「モナハン」の3隻が沈没し、他にも9隻が被害を受けました。この災害では146機の航空機も失われ、最終的に790名の将兵が命を落とすか行方不明となりました。

主な被害内容

台風による被害は数多く、以下に主なものを挙げます：

• - 沈没した艦船：駆逐艦「スペンス」、「ハル」、「モナハン」が沈没しました。
• - 損傷した艦船：軽空母「モントレー」、護衛空母「ケープ・エスペランス」など多くの艦船が損傷しました。
• - 航空機の喪失：艦載機127機、さらに水上偵察機も19機失われました。

戦中の艦隊の状況

コブラ台風の発生時、アメリカの艦隊はミンドロ島上陸作戦の支援を行っており、近隣のルソン島空襲を実施していました。台風の進路予測を信じて艦隊は進行していましたが、実際の台風は予想を上回る強さでした。一度は給油を試みましたが、波浪の影響で失敗し、艦隊の小型艦は急速に燃料を消耗しました。その結果、艦は不安定な状態で台風に巻き込まれました。

台風の影響とその後

台風による悲劇的な結果を受けたアメリカ海軍は、太平洋地域に気象観測所を設置することを決定しました。この取り組みが後に合同台風警報センターへと発展し、海軍の運用における台風の影響を軽減するための基盤が整えられることに繋がりました。しかし、コブラ台風の教訓として、多くの艦船と乗員が犠牲になり、その後の艦隊の運用にも大きな教訓を残しました。

日本の反応

一方、日本海軍は過去の経験から、台風による被害を避けるための安全対策を実施しており、その結果、太平洋戦争中に台風による艦艇の喪失は一度もありませんでした。実際にコブラ台風に遭遇した駆逐艦「竹」は無事生還しています。

まとめ

コブラ台風は、第二次世界大戦の中で発生した特に強力な台風であり、その影響はアメリカ海軍の戦局に重大な影響を与えました。この歴史的な事象は、これからの艦隊運用における気象との関わりや気象観測の重要性を再認識させる出来事となりました。

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