コミュニケーションカーニバル 夢工場'87

コミュニケーションカーニバル 夢工場'87について

1987年に行われた『コミュニケーションカーニバル 夢工場'87』は、フジサンケイグループが主催した大規模なイベントで、東京と大阪で同時に開催されました。このイベントは、フジテレビ、関西テレビ、ニッポン放送、ラジオ大阪などが協力し、7月18日から8月30日までの間に行われ、合計570万人もの来場者を記録しました。これは民間イベントとして前例のない規模であり、その成功には多くの背景があります。

イベントの背景

1980年代の初頭、フジテレビは経営の停滞に悩まされていましたが、当時の社長・鹿内春雄が新しい方向性を提案し、活気を取り戻すために「夢工場」という情報通信技術をテーマとしたイベントを考案しました。春雄は、フジサンケイグループの長期計画のなかでこのイベントを位置づけ、最終的には東京と大阪の2会場で同時開催することを決定しました。このイベントには約150億円の予算が投じられ、そのためにはNTT（当時の電電公社）の全面的な協力が不可欠でした。

NTTは夢工場に対して巨額の協賛金を提供し、さらに光ファイバーなどの最新技術を駆使。春雄はこの目新しい協力体制を通じて、夢工場を実現させることに成功しました。

宣伝と来場者

イベントの宣伝に関しては、フジサンケイグループ内のすべてのメディアを活用し、話題を集めました。開幕後、当時の中曽根康弘首相や皇族など、多くの著名人が訪れ、それに続いて多くのメディアが取り上げました。会場の混雑や待ち時間に関する批判もありましたが、結果的に570万人の来場者を記録し、20億円の黒字を達成することができました。この成功体験は春雄とその取り巻きにとって大きな自信となり、イベントの影響力はフジサンケイグループ内部での「大衆の感動を創造するセンセーション・グループ」としてのアイデンティティを強化しました。

独自の仕掛けと関連イベント

夢工場の成功を受けて、アイドルユニット「アイドル夢工場」が結成され、また任天堂との共同制作によるゲームソフト『夢工場ドキドキパニック』も発表されるなど、このイベントは実に多岐にわたる展開を見せました。

イベントには多くのパビリオンが設けられており、例えば、魔法をテーマにしたアトラクションやニューメディアに関するブースがあり、来場者は楽しみながら最新技術を体験することができました。これにより、若い層を中心に多くの支持を得ました。

逸話と影響

イベントの裏には、いくつかの興味深い逸話があります。元フジテレビプロデューサーの太地恒夫は、リオデジャネイロでのカーニバルを見学するために春雄の要請を受け、豪華なヨットをチャーターして参加者をもてなしました。春雄がこの時の体験から夢工場の発想を得たと語っています。

このように、『コミュニケーションカーニバル 夢工場'87』は、日本のメディア業界における重要な出来事であり、その後のイベントに多大な影響を与えました。フジテレビはこの成功を基に、以降もお台場地区でのイベント開催を継続し、さらなる拡大を目指すことになるのです。

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