コリン・クルックス

コリン・ジェームズ・クルックスは、イギリス外交界において重要な役割を果たしてきた外交官です。1969年生まれの彼は、1992年にイギリス外務省に入省し、華々しいキャリアをスタートさせました。着任早々、朝鮮語研修に励むなど、アジア地域への関心の高さを示しています。

韓国での勤務経験は、彼のキャリアにおいて重要な転換点となりました。1995年から1999年にかけて、在韓国英国大使館に勤務。二等書記官から一等書記官へと昇進し、着実にキャリアを積んでいきます。その後、本国イギリスでの勤務を経て、今度はアメリカ合衆国へ。2002年から2006年にかけて、在アメリカ合衆国英国大使館一等書記官として活動しました。

彼のキャリアの中でも特に注目すべきは、2008年に一時的に務めた在朝鮮民主主義人民共和国臨時代理大使の経験です。この経験が、のちの北朝鮮大使への道へと繋がる重要な一歩となったことは想像に難くありません。帰国後も、対北朝鮮上級政策顧問として、北朝鮮関連の政策に深く関わっていました。

その後、2011年から2015年にかけては、インドネシアの欧州連合代表部で外交序列第二位、そして臨時代理大使を務めました。多様な国々での勤務経験は、彼の国際的な視野を広げ、外交官としての能力をさらに高めたことでしょう。2015年から2018年にかけては、重要な拠点である中華人民共和国に赴任。在中華人民共和国英国大使館公使参事官として、英国と中国の外交関係において重要な役割を果たしました。

2018年7月、クルックスは新たな重要な任務に就きます。北朝鮮における英国大使として着任したのです。前任者であるアラステア・モーガン大使の後任として、同年12月10日に平壌へ赴任しました。赴任早々、平壌の楽園百貨店で日本料理店を訪問するなど、異文化交流にも積極的に取り組んだ様子がうかがえます。2019年1月24日には、最高人民会議常任委員会の金永南委員長に信任状を捧呈し、正式に駐朝大使として着任しました。

しかし、彼の北朝鮮での勤務は、予期せぬ困難に直面することになります。2020年2月、新型コロナウイルスの世界的な流行を受け、北朝鮮政府は厳格な措置を講じました。その結果、クルックス大使は、他国と共同で使用する大使館敷地内で軟禁状態に置かれることになったのです。2020年3月9日には、他の外交官と共にウラジオストク行きの飛行機に乗る機会がありましたが、彼は平壌に残ることを選択しました。

その後も状況は厳しさを増し、同年5月27日には、新型コロナウイルス対策の一環として、駐朝英国大使館は閉鎖されました。クルックス大使を含む英国人外交官全員が北朝鮮を脱出することとなり、彼の北朝鮮での勤務は幕を閉じました。

彼の北朝鮮での経験は、決して平坦なものではありませんでしたが、国際政治における重要な局面を目の当たりにし、貴重な経験を積んだことは間違いありません。現在は、韓国大使として新たな任務に励んでいることでしょう。多様な国々での経験を活かし、更なる活躍が期待されます。

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