コルネリウス (聖書)

コルネリウス

コルネリウスは、新約聖書の『使徒行伝』10章に登場するローマ帝国の軍人であり、百人隊長という地位にありました。彼は、当時カイサリアという都市に駐在していました。

「神を畏れる人」

コルネリウスは、ユダヤ教において「神を畏れる人」と呼ばれる非ユダヤ人の信徒でした。「神を畏れる人」とは、ユダヤ教の教えには従うものの、割礼を受けていないため完全な改宗者とはみなされない人々を指します。

ペトロとの出会い

ある日、コルネリウスは夢の中で天使から、使徒ペトロを自宅に招くようにというお告げを受けます。一方、ペトロもまた、異邦人への伝道の必要性を示す幻を見ていました。この二つの出来事が重なり、コルネリウスはペトロを自宅に迎え入れます。

聖霊の降臨と洗礼

ペトロはコルネリウスに対してイエス・キリストについて語りました。すると、コルネリウスと彼の家に集まっていた人々の上に聖霊が降りました。これは、ユダヤ人以外の人々にも聖霊が与えられた最初の出来事であり、ペトロはこの事実に驚きながらも、彼らに洗礼を授けました。

エルサレム教会への報告

ペトロがエルサレムの教会にこの出来事を報告すると、教会の信徒たちは異邦人が神の言葉を受け入れたことに大きな衝撃を受けました。

キリスト教の変容

このコルネリウスの物語は、キリスト教がユダヤ教の一派という枠を超え、全世界の宗教へと変貌していく上で、非常に重要な出来事です。それまでユダヤ人のみが対象と考えられていた救いが、異邦人にも開かれたことを示しており、初期キリスト教の歴史における転換点となりました。

まとめ

コルネリウスは、異邦人でありながら神を畏れ、信仰を持ち続けた人物でした。彼の物語は、キリスト教がユダヤ教の枠を超えて世界へと広がっていく過程を象徴しています。この出来事は、後のキリスト教の発展に大きな影響を与え、今日に至るまで多くの人々に語り継がれています。

参考文献

ハンス・シュモルト 著、高島市子 訳　『レクラム版　聖書人名小事典』　創元社、2014年9月20日初版。

関連項目

聖書の登場人物の一覧

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