コロナグラフ

コロナグラフとは

コロナグラフは、太陽の最も外側の層であるコロナを観測するために開発された特殊な望遠鏡です。この装置は、太陽本体の強烈な光を遮断し、通常では観測が困難な微弱なコロナの光を捉えることを可能にします。

仕組み

コロナグラフの基本的な仕組みは、望遠鏡の焦点面に太陽像と同じサイズの遮光円盤を設置することです。この遮光円盤によって、太陽面からの強い光が遮られ、その周辺にあるコロナの微かな光を観測することができます。これは、日食の際に月が太陽を覆い隠すことでコロナが観測できる現象を人工的に再現したものです。

コロナグラフの他にも、太陽のプロミネンスを観測するためのプロミネンスグラフやプロミネンスアイピースといった装置も存在します。これらの装置も、コロナグラフと同様に太陽の明るい光を遮断する仕組みを持っています。

運用

地球は太陽の周りを楕円軌道で公転しているため、太陽との距離がわずかに変化します。このため、太陽の視直径も約3％程度変化します。コロナグラフやプロミネンスグラフを使って太陽の表面活動を観測する際には、この視直径の変化に合わせて遮光円盤を調整する必要があります。また、日食では月と太陽の距離によって金環日食や皆既日食が見られますが、コロナグラフの場合はコロナ観測が目的のため、遮光円盤を適切に取り替える必要があります。遮光円盤は、リングフィルターや三角錐状の遮光器具などで構成されています。

恒星コロナグラフ

コロナグラフの原理は、太陽だけでなく他の恒星にも応用されています。恒星コロナグラフは、遮光円盤を使って中心の恒星の光を遮り、その周囲にある惑星や原始惑星系円盤を直接観測するために用いられます。この技術は、太陽系外惑星の研究において非常に重要な役割を果たしています。例えば、国立天文台すばる望遠鏡に搭載されているCIAOは、恒星コロナグラフの一例です。

関連用語

自然現象

日食

観測対象

太陽
フレア現象
プロミネンス現象
コロナ
太陽系外惑星
原始惑星系円盤

機器

天体望遠鏡

運用施設

国立天文台
国立天文台三鷹キャンパス
* 国立天文台ハワイ観測所すばる望遠鏡

コロナグラフは、太陽や他の恒星の研究において非常に重要なツールであり、天文学の発展に大きく貢献しています。

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