コロンビア自衛軍連合

コロンビア自衛軍連合（AUC）

コロンビア自衛軍連合（AUC）は、コロンビア国内のほとんどの準軍組織を統括する上部組織として1997年に設立されました。その創設者であるカルロス・カスターニョは、10代から準軍組織に関与し、イスラエルで訓練を受けていたことでも知られています。彼は自らの組織を形成した後、1997年4月にコルドバ・ウラバ州自衛軍などの複数の準軍組織を束ねる形でAUCを結成しました。AUCは自己をコロンビア国内の抗反乱勢力と位置づけ、独立派を除く約90%の準軍組織を支配していると主張し、構成員は1万人から2万人とされています。その活動は、国際的にはテロ組織と見なされ、多くの国で非難されています。

AUCの活動と目的

AUCは、コロンビアの国家が歴史的に失敗してきたという認識から、「反乱者とその支援者を保護すること」を目的としています。彼らは特に、左派の反政府勢力であるコロンビア革命軍（FARC）や民族解放軍（ELN）を主要な敵としており、それらの勢力との戦闘を通じて影響力を誇示してきました。実際、AUCは2000年の10ヶ月間に804件の暗殺、203件の誘拐、75件の虐殺を行ったとされ、その多くの犠牲者はゲリラやその支持者であったと主張しています。

AUCはまた、2004年には342件の休戦違反を行ったと国連人権高等弁務官が報告しており、その活動は民間人にも多大な影響を及ぼしています。彼らの戦術は、ゲリラ攻撃や通常の戦闘を含みますが、近年には政府軍との衝突も増加しています。

政府との交渉と内部闘争

2003年から2004年にかけて、AUCは政府との和平交渉を開始しましたが、その際も殺人事件は減少しませんでした。政府はAUCの解体と元隊員の社会復帰を目指し、非武装化の期限を設けましたが、現実には多くの問題が残りました。また、AUC内部でも派閥間の闘争や権力争いが続いており、同組織内での麻薬取引を巡り対立が生じていました。これらの闘争は、かつての友好関係が緊張を引き起こし、最終的にはカルロス・カスターニョの失踪と死へと繋がることになります。

ベネズエラへの波及と国際的影響

AUCの影響は国内にとどまらず、ベネズエラ政府をも巻き込んだ問題が起きました。2004年にはベネズエラ当局がAUCとの関与を疑って多くの人を逮捕しましたが、AUCはこれを否定しました。この一連の事件は、コロンビア国内の政治状況にも影響を与え、その結果、国内外での治安の不安定化を示すものとなりました。

近年の動向と評価

AUCはその後、2006年までの完全な解体を目指して武装解除のプロセスを進めましたが、国際人権団体やコロンビア国内のひと部にはその過程に対する批判がありました。免責や政治的利益が関与する中、コロンビアの人権問題は依然として深刻であり、AUCの解体後も新たな民兵組織が活動を続けるなど、問題は解決されていません。AUCに対する評価は複雑で、歴史的な背景や人権侵害の問題など、今なお多くの議論が続いています。

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