コンサーティーナ

コンサーティーナの概要

コンサーティーナ（concertina）は、アコーディオンの仲間に属するフリーリード楽器であり、蛇腹楽器の一種です。通常、正六角形または正八角形のコンパクトな形状を持ち、西洋の民俗音楽において広く使用されています。日本語での名称には「コンサーティーナ」の他にも多様な表記があり、統一された記載は存在しません。

特徴

コンサーティーナは、フリーリード楽器の中でも最も軽量な部類に入り、通常のアングロ・コンサーティーナでも1kgから2kg程度です。その軽量さにより、持ち運びが容易で、メロディーの演奏や和音の伴奏も可能です。基本的には座奏での演奏が主流ですが、慣れれば立奏や歩奏も可能です。演奏時には、語ったり歌ったりしながら演奏することもでき、幅広い音楽ジャンルに対応しています。

しかし、コンサーティーナはボタン鍵盤や金属リードが多数内蔵されているため、構造には一定の制約があります。種類毎にボタン鍵盤の方式や操作法が異なるため、特定の譜面や音を出すのが難しい場合もあります。その反面、奏者は自らの楽器の特性を活かした演奏スタイルを探求できる楽しさもあります。

アコーディオンとの違い

アコーディオンとコンサーティーナの大きな違いは、形状と機構にあります。アコーディオンは左右非対称の構造を持ち、右手側は主旋律、左手側は和音伴奏を担当します。一方、コンサーティーナは左右対称の筐体を持ち、左右同じように機能します。このため、演奏スタイルも異なり、コンサーティーナはバンドネオンに似た特性があります。

誕生の歴史

コンサーティーナは1829年にイギリスの物理学者チャーレズ・ホイートストンによって発明され、特許を取得しました。この楽器はイングリッシュ・コンサーティーナと呼ばれるタイプに分類されています。その後、ジャーマン・コンサーティーナが登場し、アングロ・コンサーティーナやデュエット・コンサーティーナなどの様々な派生型が登場しました。

名称の由来

「コンサーティーナ」の語源は「コンサート」という言葉と、女性的な縮小辞「-ina」が結びついたものです。この名称は1834年から使用され始めたとされ、イギリスの楽器商により広まりました。

世界各地での普及

発明当初からコンサーティーナは多くの人々に愛され、プロの音楽家だけでなく移民や旅芸人など、広く使用されるようになりました。特にアイルランド音楽やイングランドのフォーク音楽、日本ではアコーディオンとともに数々の舞台で使われてきました。

演奏スタイル

コンサーティーナの演奏は多岐にわたり、両手で蛇腹を押したり引いたりしながらメロディーや和音を奏でます。基本的には両膝に置いて演奏しますが、慣れれば手に持ったまま立って演奏することも可能です。また、演奏スタイルは楽器の特性により異なり、特にライブ演奏では奏者の個性が際立ちます。

コンサーティーナの種類

一般的にはアングロ・コンサーティーナとイングリッシュ・コンサーティーナの二つがよく知られていますが、他にもいくつかの種類があります。それぞれの種類によって操作法や音色が異なるため、使用する際は注意が必要です。例えばアングロ・コンサーティーナではダイアトニック式（押し引き異音式）、イングリッシュ・コンサーティーナはクロマチック式（押し引き同音式）という特性があります。

日本におけるコンサーティーナ

日本には幕末から明治時代にかけてコンサーティーナが伝来し、救世軍や宣教師などを通じて知られるようになりました。しかし、アコーディオンに比べるとコンサーティーナは輸入品が中心であり、日本の楽器製造は存在していません。

近年ではYouTubeやアイルランド音楽のイベントなどを通じて、日本国内でもコンサーティーナの愛好者が増加しています。観光地や音楽イベントの中でも見かけることが増えてきました。

結論

コンサーティーナは、その特徴的な形状と音色から世界の多くの地域で愛され続けており、その演奏技術や楽器の多様性は音楽文化において大きな役割を果たしています。興味がある方は、様々な演奏スタイルや楽器の種類を通じて、コンサーティーナの魅力を体感してみてはいかがでしょうか。

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