コンティ公

コンティ公

フランス王国における貴族称号のひとつ。ブルボン家の支流であるブルボン＝コンデ家の分家が保持した。フランス語では prince de Conti と表記される。

名称の起源

この称号は、フランス北部、現在のオート＝フランセ地域圏ソンム県に位置するコンティという名の小さな町に由来する。コンティの土地は、1551年にブルボン＝コンデ家の祖である初代コンデ公ルイ1世・ド・ブルボンが、エレオノール・ド・ルシー・ド・ロワイエとの結婚によって獲得し、コンデ公領の一部となった。

爵位の創設と最初の断絶

初代コンデ公ルイ1世の三男であるフランソワ・ド・ブルボンは、このコンティの地名を冠した侯爵に叙された。そして、1581年にはコンティ公爵へと昇格している。しかし、フランソワには唯一の男子がいたが、彼は若くしてこの世を去ってしまう。フランソワ自身も1614年に死去したため、直系の相続人が途絶え、コンティ公爵の爵位は一旦廃絶された。

爵位の復活とプランス・ドゥ・サン

最初の断絶から15年を経た1629年、コンティ公爵の爵位は再び創設された。この時、爵位を与えられたのは、第2代コンデ公アンリ2世・ド・ブルボンの次男にあたるアルマン・ド・ブルボンである。アルマンは、フロンドの乱の中心人物としても知られる大コンデ公ルイ2世の弟にあたる。

コンティ公家は、アルマン以降、フランス王国内において重要な地位を占めるようになった。特に、アンリ4世が即位した1589年から七月王政が始まる1830年までのブルボン朝期において、コンティ公は「プランス・ドゥ・サン（prince du sang）」、すなわちフランス王室の血を引く王族の一員と見なされた。この身分は、王位継承権を持つ可能性を示すものであり、彼らはフランスの宮廷や政治において一定の発言力と影響力を持っていた。

歴代コンティ公

コンティ侯爵および公爵の称号を保持した人物は以下の通りである。

コンティ侯爵

フランソワ・ド・ブルボン (在位: 1558年頃 - 1581年) - 1581年に公爵に昇格。

コンティ公爵 (第1期)

フランソワ・ド・ブルボン (在位: 1581年 - 1614年) - 嗣子なく死去し爵位断絶。

コンティ公爵 (第2期)

アルマン・ド・ブルボン (在位: 1629年 - 1666年)
ルイ・アルマン1世 (在位: 1666年 - 1685年) - アルマンの息子。
フランソワ・ルイ (在位: 1685年 - 1709年) - ルイ・アルマン1世の弟。通称「大コンティ」。ポーランド王候補にもなった。
ルイ・アルマン2世 (在位: 1709年 - 1727年) - フランソワ・ルイの息子。
ルイ・フランソワ1世 (在位: 1727年 - 1776年) - ルイ・アルマン2世の息子。
ルイ・フランソワ2世 (在位: 1776年 - 1814年) - ルイ・フランソワ1世の息子。最後のコンティ公。

家系の終焉

最後のコンティ公であるルイ・フランソワ2世は、フランス革命後の激動の時代を生き抜いたが、嫡出子を残すことなく1814年に死去した。これにより、1629年に復活したコンティ公爵の家系は完全に途絶えることとなった。

コンティ公の称号とそれを受け継いだ一族は、フランス王国の歴史、特にブルボン朝における王族の分家の役割や、高位貴族の系譜を示す重要な事例である。

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