コンテンツ権利保護専用方式

地上RMP方式：日本の地上デジタル放送におけるコンテンツ保護

地上RMP方式（コンテンツ権利保護専用方式）は、日本の地上デジタルテレビ放送におけるコンテンツ保護技術です。2012年8月より順次運用開始され、DRM（デジタル著作権管理）の一種として、地上放送RMP管理センターが運用・管理しています。電波産業会（ARIB）の標準規格にも則っており、ARIBコンテンツ保護方式とも呼ばれ、B-CAS方式とは異なるアプローチでコンテンツの保護を実現しています。

導入の背景

従来、日本のBSデジタル放送や地上デジタル放送では、B-CASカードを用いた限定受信方式が広く利用されていました。B-CASは有料放送の視聴制限を主な目的としていましたが、後に無料放送のコンテンツ保護にも転用されました。しかし、B-CASカードの発行を私企業が独占していることや、ARIB規格に準拠しないチューナー（無反応チューナー）の登場などから、公正取引委員会による独禁法違反の疑い指摘や、コンテンツ保護に関する社会的コストの増加といった課題が浮上しました。

これらの問題点を解決するため、地上デジタル放送専用の新しいコンテンツ保護方式として地上RMP方式が開発・導入されました。BSデジタル放送などの無料放送には適用されず、地上デジタル放送のコンテンツ保護に特化しています。

B-CAS方式との比較

地上RMP方式とB-CAS方式はどちらも日本のデジタルテレビ放送におけるスクランブル方式ですが、いくつかの重要な違いがあります。B-CAS方式は当初、有料放送の限定受信を目的としていましたが、後に無料放送のコンテンツ保護にも利用されるようになりました。一方、地上RMP方式は、当初から無料放送のコンテンツ保護を主な目的として設計されています。

技術仕様と標準規格

両方式ともARIB STD-B25、ARIB TB-14などの電波産業会標準規格・技術資料に準拠しています。しかし、B-CAS方式がICカードによるハードウェア実装であるのに対し、地上RMP方式はソフトウェアによる実装です。この違いにより、地上RMP方式は、搭載チューナー数や同時処理できるサービス数の制限が緩和されています。

法的な位置づけ

一般的には、B-CAS方式はアクセス制御、地上RMP方式はコピー制御と分類されます。しかし、日本放送協会や日本民間放送連盟などの放送事業者からは、B-CAS方式はアクセス制御とコピー制御の両方の機能を持つと主張する意見もあります。

まとめ

地上RMP方式は、B-CAS方式の問題点を踏まえ、地上デジタル放送のコンテンツ保護をより効率的かつ柔軟に行うために開発されたシステムです。ソフトウェアによる実装、柔軟な同時処理能力、そして明確なコピー制御への焦点という特徴を持つ地上RMP方式は、日本の地上デジタル放送の未来において重要な役割を担っています。今後の技術発展や放送環境の変化に合わせて、さらなる改良や発展が期待されます。

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