コンドル (1939年の映画)

『コンドル』(Only Angels Have Wings)は、1939年に公開された、ハワード・ホークス監督によるアメリカ映画です。ホークス自身のオリジナルストーリー『Plane from Barranca』を基に制作された、航空冒険ドラマ作品として知られています。

物語の舞台は、南米エクアドルの港町バランカ。ケーリー・グラント演じるジェフ・カーターは、小さな航空会社の経営者であり、優れたパイロットでもあります。彼の会社は、危険な山岳地帯を縫って郵便物を運搬する過酷な仕事を請け負っています。

ある日、ニューヨークからショーガールとして巡業に来たボニー・リー（ジーン・アーサー）がバランカに立ち寄ります。彼女は、ジェフ率いるパイロットたちの危険な仕事ぶりを目の当たりにし、その中でジェフに惹かれていきます。予定していた船を逃したボニーは、次の船が出るまでの1週間、バランカに滞在することになります。

この航空会社に、新たにパイロットとして雇われたのがバット・マクファーソン（リチャード・バーセルメス）です。しかし、彼は過去に機関士を見捨てて殺害したという悪名高いキルガロンという人物でした。この事実を知ったパイロットたちは激しく反発します。特に、キルガロンによって弟を殺されたベテランパイロットのキッド・ダップ（トーマス・ミッチェル）は、彼への復讐心に燃えています。さらに、キルガロンの妻ジュディ（リタ・ヘイワース）が、実はジェフの昔の恋人だったという複雑な事情も明らかになります。

ジェフは、様々な葛藤を抱えながらも、キルガロンをパイロットとして受け入れます。キッドは、かつての腕前からは衰えていましたが、ボニーがジェフを負傷させたことから、現役を続けることになります。

ある郵便運搬の任務中、キルガロンの操縦する飛行機は事故に遭います。脱出を主張するキッドに対し、キルガロンは強引に着陸を試み、機体は墜落。その結果、キルガロンは重傷を負います。

死の淵で、キッドはキルガロンを許します。一方、ボニーはジェフの愛を確認し、バランカに残ることを決意します。

本作は、危険な仕事に挑むパイロットたちの勇気と友情、そして複雑な恋愛模様を、迫力ある空撮と緊迫感あふれるストーリーで描き出しています。命の危険と隣り合わせの過酷な環境の中で、彼らは人間としての葛藤や、自分自身の限界と向き合っていきます。

『コンドル』は、単なる航空冒険映画にとどまらず、人間ドラマとしても高い評価を受けています。アカデミー賞では、撮影賞と特殊効果賞にノミネートされました。ケーリー・グラントとジーン・アーサーをはじめとする名優たちの演技も、見どころの一つです。危険と隣り合わせの仕事、そして複雑に絡み合う人間関係。この映画は、観客に忘れられない感動と興奮を与えてくれるでしょう。

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